3月2日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三月一日】米宣教師殺害容疑者、サーレスとバチスタは二十八日、殺害依頼人とされるビダことヴィタウミーロ・デ・モウラが、アナプ市のルイス・R・カルヴァーリョ市長(PTB)の事件への関与をほのめかしたと供述した。二人は、逮捕された場合の弁護士費用負担者の一人が市長であるという。連邦警察と市警は、犯人らが精神的な動揺で市長の犯罪関与を不用意に口走ったと判断し、事件の波及を警戒している。
宣教師殺害依頼のモウラ容疑者はアナプ市長の事件関与を示唆したと、アウタミーラ警察署で行われた上院外部調査委員会の席上で、逮捕された実行犯の二人が供述した。連警は供述の徹底解明を行うが、犯人らは取り調べで精神的に動揺したあげくの供述とみている。犯人らの供述には想像も交じり、疑惑と事実の境界は明確でない。
サーレス容疑者は逮捕直後、殺害依頼人は農村労働者組合のソウザ理事長だと供述し、数時間後には取り消した。捜査かく乱のためでっち上げたと後になって弁解した。二十八日の供述調書には、アナプ市長の氏名が記録されなかった。
その他にも犯罪に関係したが、名前を出さないよう言い聞かせた者が多数いるとされる。また宣教師の環境保護キャンペーンに表向きは協力し、背後で宣教師殺害を画策した有力者も多数いたようだ。
取り調べの際に名前を隠し通した場合の報酬は、優秀な弁護士をブラジル南部から十万レアルで起用することだった。調査委員会の上議は、アナプ市の市長や組合理事長、企業家などを召喚して事情聴取を行う予定。
当面の弁護士費用を直接依頼人のビダが一時立て替え、後日ボスらから集金し決済を行うはずだと容疑者二人は供述した。ビダは市長の名前を出せば集金は容易になり、資金もすぐに集まるとみた。仕事が済み次第、友人デリオ提供の小型機でビダは高跳びする予定と二人に漏らしたという。
地主デリオはアマゾン地方開発監督庁(SUDAM)の公金横領大物容疑者の一人として、検察庁のお尋ね者。またビダが一万レアルの弁護士を雇ったため、身柄釈放に手間取っていると二人は不満を漏らした。ビダは、被害者が大統領の友人であるため、問題が複雑だと弁解したという。
一方、スタング宣教師殺害疑惑の焦点となっているアナプ市のカルヴァーリョ市長は二十八日、事件の関与を一切否定する声明を発表した。サーレスの供述は、捜査解明を妨げるための狂言であるとした。同市長は犯罪のあった日、土地係争による殺人の撲滅宣言を行った。宣言文にはスタング宣教師の社会運動を称え、協力を惜しまないメッセージを盛り込んだ。アナプ市長と地主デリオは二十八日、報道陣を避けて行方をくらました。
宣教師殺害事件で忘れられたのが、アナプ市郊外で殺害されたクラウジオ・M・ダンタス氏(29)だ。同氏は六番目の子をもうけ、産児の命名もしないうちに非業の死を遂げた。事件は妻が産院で出産を待っていたときに起きた。入植地で就労中に二発を被弾し、とどめは撲殺だった。