3月2日(水)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十三日】四百五十一周年を迎えたサンパウロ市は、新しい経済サイクルの時代を迎え、大きく変貌しつつある。金融や保険、不動産、コンサルタント、広報など最先端サービスと人材を近隣諸国へ提供するに至った。
こうした高度なサービスは、さらに文化や保健、教育、高度な食文化と優雅な生活を育み、外国企業を呼び込んでいる。製造業は安価な人件費と土地を求めて、地方部へ移転した。高度化を要求されない一部のサービス業も同じ理由で地方へ移転した。
高度に洗練された最先端サービスは、人材がサンパウロ市に集中するため、地方へ移転することはないと予測される。サービスの高度化は、工業にも変化をもたらした。従来は、工業から派生したサービスが多数あった。しかし、現在派生したサービスは、例えば印刷などの工業のみとなった。
サンパウロ市はこれから、職業が限定され、人口の増加も停滞するとみられる。今後増えるサービス業は、レストランや映画館、広報、マーケティングなどや、ファリア・リーマ大通りやルイス・C・ベリーニ大通りのような金融街。サンパウロ市の職業は、サービスと商業が主体となる。工業が去った跡地は、文化展やイベント、博覧会などに利用されるようになる。
しかし、工業は全くなくならない。大工業は去るが、零細工業は残る可能性がある。大サンパウロ市圏でみれば、工業団地は継続される。全国レベルでみて、工業都市の地位を譲るというのだ。
コーヒー景気で始まった都市集中化は、サンパウロ市に交通渋滞や違法宅地造成、貧民街をもたらした。以前は会社付近の居住と長期間の勤続が普通だったが、不規則な勤務時間と不便な通勤条件により職の質低下を招き、サンパウロ市を混乱と雑踏のるつぼに陥れた。
工業化はサンパウロ市に二つの現象をもたらした。中心街は上に伸び、郊外は横に伸びた。郊外のターミナル・センターで土地価格の暴騰と周辺貧民街の激増が、七〇年代以降発生した。現在サンパウロ市は高級住宅街と失業者がたむろする下層階級社会に両極化した。両極化による不均衡は、新たな問題の原因となるので、早急な是正が関係者の課題となっている。