ホーム | ブラジル国内ニュース(アーカイブ) | パラー州犯罪白書を公表=検事総長が2年間調査=元知事、犯罪組織に関与=産業界と政界に根を張るマフィア

パラー州犯罪白書を公表=検事総長が2年間調査=元知事、犯罪組織に関与=産業界と政界に根を張るマフィア

2月24日(木)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】連邦政府は二十二日、パラー州の土地係争に関して検事総長自身が二年間にわたり調査した犯罪白書を公表した。白書は、現政権と連立関係にあるブラジル民主運動党(PMDB)のジャデル・バルバーリョ下議の関与する犯罪組織が、マホガニーの不法伐採と農地略奪のために企業家や殺し屋と結託したことを報告している。犯罪組織は銘木がある農地から入植者を追い出し、法務局も巻き込んで不法に取得した農地の合法化手続きを行っていた。
 米宣教師の殺害事件が起きたパラー州南部の土地係争に関する犯罪白書を、検察庁が大統領府へ提出した。白書は、事件の首謀者とみなされる主な事業家六人の氏名を明記している。
 六人とも同州元知事であるバルバーリョ下議配下の人物で、司法府や国会議員と広く癒着している。六人は、同下議の汚れ役ともいえる。その下に多くの殺し屋がいて、殺害実行犯と服役代理人がいる。身内が殺害しても別人が服役して、真犯人は目前で平然としている。
 不法伐採に同下議が関与したことは、明白な事実だと白書は明記している。同地方で頻発する殺人や暴力事件を連邦と州の関係機関が故意に見逃していたことも明白であると報告している。検事総長は白書を上梓した一カ月後にスタング師殺害事件が起き、誠に遺憾と死を悼んでいる。
 フォンテレス検事総長とバストス法相は二十二日、宣教師事件がもたらす連邦レベルの抵抗活動への対応について話し合った。パラー州マフィアは、ブラジルの政界と産業界に深く根を張っている。連邦政府や州政府、自然環境保護院(IBAMA)、農業協力改革院(INCRA)、インジオ保護財団(FUNAI)の中にも、マフィアのメンバーは多数潜んでいる。
 パラー州サン・フェリックス・ド・シングー郡とアウタミーラ郡は、パラー州マフィアの縄張りである。バルバーリョ下議配下の組織が、公有地にあるマホガニーなど銘木の切り出しと不法伐採を行っていた。最近は銘木の立木が急減したため、組織は地主の武力追放と農地略奪へねらいを変えた。
 銘木の不法伐採に代わり、農地の横取りも組織の新しい仕事とした。入植者を武力で追い出し、略奪した農地の取得手続きや公有地の払い下げも関係機関を巻き込んで行われるようになった。
 犯罪組織は三グループからなっている。一は大地主と土地のボス。二は殺し屋集団で一の下部組織。三は政治家と政府関係者で、不法取得物件の合法化手続きに関与。この第三グループが、公的資金を引き出したり融資を取り付けたりして組織に資金援助する。
 パラー州南部では、その後も収支決算と称して殺人が日常茶飯事に行われている。ジャテネ・パラー州知事は、同州での人身保護は不可能と述懐した。どんなに厳重な保護網を設けても、殺害の可能性は否定できないという。パラー州は地味肥沃なので緑の地獄を緑の天国に変えるのは、パラー州に関心を持つ人の心意気次第だと述べた。