健康広場
2月23日(水)
もの忘れとボケ(痴呆)は医学的に全く異なるもので、病気と考えられるボケと異なりもの忘れは自然なものであることは前回触れた。ただ、もの忘れは日常生活の過ごしや食事法など意識を変える事で改善することが出来るのも事実。
まずは記憶のメカニズムをもう一度整理しておこう。
私達が見たり、聞いたりした事柄は基本的に「情報」として脳の中にある海馬(かいば)に入り、そこから大脳に送られ、記憶として蓄積される。そこから情報を取り出して、物事を思い出すという訳だ。
「あの人だれだっけ」「何かすることあったはずなのに」と些細なことのはずなのに思い出せないという人は、次に紹介する記憶力アップのための方法を紹介しよう。
(1)反復して思い出すこと。というのも海馬に送られた記憶は持続時間が短いため、何度も何度も意識して頭の中で記憶したい事柄を思い浮かべることが重要なのだ。
(2)強い興味とともに覚える。どうでもいい事柄は覚えられないが、自分から「見たい」「聞きたい」「食べたい」と思った記憶や、共感したり、反発したりして覚えたものは定着しやすいのだ。楽しいことや辛いことの思い出がいつまでも残っているのはこのためだ。
(3)何かに関連付ける。単に人の名前だけを覚えようとせず、赤い服を着ていたなど別の要素も加えると思い出しやすくなる。
(4)書いたり、声に出したりする。手や耳など五感を十分に使って覚えた記憶は長く記録されるのでより効果的だ。
またこうした具体的な方法だけでなく、日常生活の過ごし方を変えるだけでも効果が出てくる。例えば、アポゼンタードしたからといって、自分を「隠居」扱いせず、いつまでも知的好奇心を持つことが大切だ。カラオケでも園芸でも何でもいい。自分が関心を持てる分野を持ちつづけたい。精神的にはアポゼンタードしてはダメだということだ。
両手を使えば、脳の活性化にもつながるので出来るだけ、陶芸や園芸など
両手を使った創造の場を持つことも効果がある。
さらに高齢者を持つ家族全員が協力できるもの忘れ防止法もある。トランプの神経衰弱をやったことがある人は多いと思うが、記憶力の鍛錬にはもってこいだ。孫などが集まった際に、ぜひ挑戦して欲しい。さらに集団の中で会話をすることで脳も活性化され、一石二鳥になる。
食事ももの忘れ防止の一因を担う。
まず肉中心ではなく、緑黄色野菜や魚を食べるほうがもの忘れ予防になる。特に近年注目が集まるDHAやEPAを含むマグロやイワシ、サンマなどの青魚がより効果的だ。
二十歳代を最高に年々、脳細胞の数が減り衰えるといわれる脳。しかし、脳を鍛えるのは高齢者でも可能だ。「年だから」とあきらめず、いつまでも若い脳を保つよう心がけたい。