2月22日(火)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十日】度重なる金利の引き上げと、一向に歯止めがかからないドル安の影響による国際競争力の低下が危惧され、輸出業界に暗雲がたち込めている。工業界ではすでに輸出を見限って生産縮小を実施している企業もあり、また一様に輸出見通しを下方修正している。
とくに基本金利の連続引き上げについては、政府内を含めた大方の反対をよそに半ダースの一握りの中銀幹部が意のままに操作しているとして、工業界は強い不満を表明している。ドル安は世界に波及しているが、レアル高は世界各国と比較して顕著であり、すべて金利高が原因だとして中銀が元凶だと糾弾する声が高まっている。
中銀は金利引き上げをインフレ抑制の大義名分としているが、エコノミストらは公共料金の値上げが消費者物価指数より四〇%高となっていると指摘し、これらの抑制が先決だとの見方を強調している。
サンパウロ州工業連盟のスカフ会長は、一ドル=二・六〇レアルの相場は九〇年代後半の経常収支が赤字だった頃のレートであり、ほとんどの企業の採算は赤字だが、仕方なく輸出を続けているという。理想は二・九〇レアル以上で、この辺で政府は「目を覚まして」対策を練らなければ輸出は大幅に減少し、今年の経済成長は望めないとの見解を示した。
大半の企業はドル安がブレーキを掛けているとし、一例を挙げると、繊維業界の輸出大手であるパラマウント社は、今年の同社成長率を当初の一八%から五%へと下方修正したばかりか、一千万ドルを投じてアクリル糸の生産ラインを拡張する計画を断念した。さらに同会長は、大型契約が期待されていた中国へのコモディティ輸出は不調に終わり、逆にドル安による中国からの輸入が増えて、中国との貿易収支は赤字になるとの見方を強めている。
大統領をはじめとする政府内にも中銀の横暴さに眉をひそめている者がおり、そのうちに我々(工業界)は映画を観にいくのにも中銀の許可が必要になると皮肉った。
全国肉類輸出協会のプラチニ会長は、昨年の経済成長の大黒柱となった輸出に足かせをはめる金融政策は不当との見方を示している。ブラジルの取引相手である各国の金利は平均一〇%であり、ブラジルの一八・七五%は類を見ないとしている。先月は十一万人余の新規雇用があったが、中期的に失業が増加するとみている。現に皮革や靴業界では操短に入り、解雇者が出ていると指摘した。
いっぽうでルーラ政権が発足した〇三年から先月まで、公共料金の値上げは二五・三七%となり、インフレ算出指標の広範囲消費者物価指数(IPCA)が一八・二九%で四〇%高となっていることから、エコノミストらは金利引き上げより公共料金値上げの抑制が先決だと指摘している、主な値上げは宝くじやスポーツくじが四六・六%、通行料金が四四・八六%、固定電話が三六・六七%、家庭電気代が三四・七%、上下水道代が三四・一五%だった。