南太平洋にツバルという国がある。九つの環礁島からなる極小国家であり、バチカン、モナコ、ナウルに次いで世界で4番目に小さい。面積は26平方キロであり、東京の八丈島の三分の一。人口も一万人余と少ない。あの大東亜戦争では日本の軍隊が駐留したし馴染みが深いのだが、この珊瑚国家は、極めて標高が低い▼しかも、どの島にも河川はなく飲料水などは雨水を利用している。だが、この国が一番に心配しているのは、地球の温暖化が進み島々が水没してしまいうのではないか―なのだ。インド洋に浮かぶモルディブも水没が頭を離れない。なにしろ島々の海抜が高くても3㍍、低いところは1㍍だから危険はいっぱいなのである。これらの国々は米国に「京都議定書に参加して」と訴えているが、本当に―このまま温暖化が進めば我らが地球は破滅への道を歩む▼この地球の気温は高くなっている。専門家らは2100年には最大で5・8度上昇し、海面も88センチ上昇すると予測している。ツバルやモルディブの訴えは、悲痛な叫びなのである。十六日に発効した京都議定書は、こうした悲劇を食い止めようとする世界的な取り決めなのだが、実際的な効果となると、悲観論が強い▼第一に―温室効果ガスの最大の排出国である米国が参加を拒否していること。次に中国とインドが途上国なので削減を義務付けられないの二つが大きい。ちなみにアメリカと中国、インドの3国で世界の排出量の4割を占めている。これでは、日本や欧州がどんなに頑張っても、地球の温暖化は防げまい。 (遯)
05/2/19