2月16日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十五日】上院は十四日、議長選出投票を行い、レナン・カリェイロス上議(ブラジル民主運動党=PMDB)を賛成七十二票、反対四票で第六十代上院議長に指名した。サルネイ前議長に代わり向こう二年間、議長の任務を務める。就任の挨拶で同議長は、政治改革の優先と暫定令の乱発防止、迷路と呼ばれる予算法の整備に取り組むことを強調した。一方、下院は怒号の応酬と乱闘寸前の中、決選の末、セヴェリーノ・カヴァルカンテ下議(大衆党=PP)を議長に決定した。
上院議長の選出は無記名投票で行われ、予想通りアラゴアス州出身のレナン・カリェイロス上議に決定された。副議長は、チアン・ヴィアナ上議(労働者党=PT)となった。上院は十五日午後四時、開院式を行った。サルネイ前議長は、国家予算が政治取引の道具に使われる習慣を正し、ガラス張りの政治に改革するよう訴えて降壇した。
新議長の挨拶後、上院は政治改革の話題で持ち切りとなった。国会は、まるで狂人の踊り場だ。票稼ぎのための党員引き抜きに始まり、マスコミ関係者を引きずり込んで報道合戦を展開、議会の良識は地に落ち、恥も外聞もない。
ブラジルには帝政以来の法律がまだ生きているので、法令が多すぎることも新議長は取り上げた。法律をすべて咀しゃくすることは、裁判官も弁護士も不可能で、司法制度は改革だけでは間に合わない。ブラジルの司法制度改革には、革命が必要だとさえ言える。
一方、注目の下院は鶏小屋のような喧噪の中、カヴァルカンテ下議を決選投票で議長に選出した。一次投票ではグリーンハルフ下議二百七票、カヴァルカンテ下議百二十四票。両人は過半数に達しないため決選にもつれ込み、カヴァルカンテ下議三百票、グリーンハルフ下議百九十五票で議長が決まった。ギマランエス下議は一次投票の百十七票に留まった。
午後九時から、各候補の方針演説が始まった。議場内はしばしば停電となり、議員らをイライラさせた。ジェノイーノPT党首は、ギマランエス下議の選挙参謀に殴られる一幕も。
民主主義の象徴とされる場をわきまえない、示威運動などのかく乱活動も議場内を横行した。上院の表決が整然と行われたのとは対照的だった。下院の表決は無記名筆記式で行われた。
下議五百十三人が一人ずつ呼ばれ、全員面前の垂れ幕の中で無記名筆記を行い、投票箱に投じた。選出するのは議長と六人の下院執行委員、四人の補欠。夜半を過ぎても下議七十人が順番待ちで、表決は延々と続いた。
政府与党が下院議長選に負けたことはないが、与党から候補が二人出たこともないという異例の事態で、ブラジル中の注目を浴びた議長選挙だった。
議長候補五人のうち、三人が専門の選挙参謀を雇ったのも異例といわれる。下院内は所狭しとビラや横断幕が張られ、まさにお祭り会場の雰囲気だった。美女五十人を採用して、お色気得票合戦に起用した候補者もいる。ショーマンを雇ってイベントを開催するなど、今回の下院議長選挙は多種多様なものとなった。