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04年の工業成長率8.6%=IBGE=86年来の好成績=けん引役は耐久消費財=所得、貯蓄、ローン3拍子揃う

2月12日(土)

  【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十一日】ブラジル地理統計院(IBGE)は十日、二〇〇四年度の工業部門の成長率は八・三%に達し、一九八六年(一〇・九%)以来の好成績だったと発表した。生産増をけん引したのは、自動車や家電製品など耐久消費財の二一・八%、次いで機械や機器など資本財の一九・七%。サンパウロ州工業センター(CIESP)の統計によると、〇四年には雇用が五・〇一%増加し、九万三千六百人が新規に採用された。
 〇四年は企業家の自信回復と消費者の安心感、貯蓄の急増、ローンの援護射撃で、工業部門はまさに順風満帆だった。食品や清涼飲料水、衣料などの非耐久消費財の生産は年末、ようやく活気を取り戻した。しかし、工業全般では年末になって在庫増を反映し、増加率が減速した。
 耐久消費財は〇五年も個人向けローンが引き続き維持され、債務不履行も減少しているため、生産が好調に推移すると予想される。資本財では、企業家がこれまで懐で暖めていた計画を出して来たため、新しい動きが期待される。
 債務不履行が減少しているため、ローン販売の拡大と銀行間の貸し付け競争が予想され、利子は中央銀行の基本金利ほどの引き上げはない。中銀のインフレ警戒感をよそに産業界には、消費者の所得向上傾向に基づいた楽観的な動きが漂っている。
 〇四年に最も潤った業種は、自動車の二九・九%と電気機器や携帯電話など情報機器の一七・八%、工作機械の一六・一%だった。低迷したのは石油ガスの二・九%。海上プラットフォームの納入延滞が原因だ。
 雇用の増加が著しかったのは、サンパウロ州内陸部とABC地区。トップは、ジアデーマ市で一〇・五四%増。続いてサンカエターノ市の九・三一%、ピラシカーバ市九・〇七%、サンタバルバラ市八・七%、バウルー市八・二八%など。サンパウロ市の工業成長率はわずか一・五八%。
 自動車が好調だったのは、輸出の年だったからだ。ジアデーマ市は、部品の下請け工場が密集する町で、地方都市の税制恩典やコスト削減に有利な環境に魅せられ、多くの工場が身ぐるみ移住を行った。
 〇五年の雇用見通しは、かんばしくない。景気の陰りが〇四年の第3・四半期から見え始めた。雇用も十月から下火となった。十二月の雇用は前月比〇・四四%減となり、〇三年同月の〇・四八%減と同水準になった。この局面の打開は、為替対策と税制改革、金利政策の三つにあると関係者はみている。
 〇五年の工業部門の成長率は、関係者の試算では四から五%と推測。〇五年の原動力はローンの増強と所得の向上、投資の増加など。高金利の影響は、〇三年の轍をもう踏まないとみている。景気減速の原因は、中銀がインフレ対策でブレーキをかけるから。為替危機の回避は、海外に営業拠点を持つ企業に限るようだ。
 過去の工業部門の成長率を観察すると、クルザード・プランで活気を取り戻した八六年の一〇・九%が峠だった。谷底はコロル・プラン(九〇年)実施時のマイナス八・九%。その後レアル・プラン(九四年)で七・六%とやや浮上したが、目ぼしい発展はなかった。