2月11日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十日】ルーラ大統領は九日、会社更生法を公式に裁可した。百二十日後に施行される同法は、企業の金利負担を軽減する最重要法案の一つとされる。経営不振にあえぐ企業は、債務決済について延期交渉の猶予が与えられる。しかし、ヴァリグ航空など経営難の航空業界救済は、パロッシ財務相やアレンカール国防相が検討中。同法の裁可には検察庁の介入など三条項が大統領によって拒否された。
ヴァリグ航空を始め、ヴァスピ航空やトランスブラジル航空など枕を並べて死に体にある航空各社について、政府は会社更生新法の適用による窮地脱出を検討中だ。同旧法は四五年に制定されたが、和議倒産や破産申請を受けた企業の営業活動について現実に即さない欠陥法だった。同法の審議に十一年もかかったため、旧法は汚職や横領、乱脈経営などに悪用された。
承認された同法の内、次の三条項は大統領によって拒否された。一、法定管理や計画倒産への検察介入。二、債権者会議決議への司法介入。三、債権者会議での労働者の優先など。
同法はマクロ経済政策の基本であり、企業と金融機関の間の債務決済について明白な基準を設けたものだと、財務相は述べた。生産性と将来性のある業種には、金利を低減するなど一定の恩典を設けた。
従来の和議倒産は、法定外取引の会社更生で代替した。債権者の労働者を始め、資材納入業者、銀行、政府機関は企業と債務決済交渉の上、百八十日以内に合意を行う。合意に達しない場合は、裁判所は即時に破産判決を下す。この手続きはこれまで、二十年もかかることがあった。
破産申請は計画倒産や偽装倒産などの悪質倒産を避けるため、手続きは瞬時に行う。破産企業の債務決済は、先ず三万九千レアル以下の労働契約未払い分を最優先とする。続いて銀行債務の担保決済、滞納税の順に決済される。破産申請は、四十最低賃金以上の場合に制限することになった。
大統領府で取り扱いが問題になったのは航空各社。航空業界の不振について、見解が議論百出した。財務相は航空業界を例外として、同法適用を避ける考えだ。国防相はヴァリグ航空と相談の上、債権者代表のウニバンコ銀行に同社更生計画を立案させるようだ。一方ヴァリグ航空は、独自の会社更生案を発表した。
ヴァリグ航空の更生最終案が、トランスブラジル航空にも適用されるとみられる。トランスブラジル航空の場合、債権者代表のジェネラル・エレクトリック社が航空貨物専門のオーシャン・エア航空との合弁で更生計画を準備している。
トランスブラジル航空のシプリアニ社長は、大統領の旧友だ。社長の側近は、一億ドルの海外不正送金容疑でサンパウロ州銀CPI(議会調査委員会)の喚問を受けた。その他同社の顧問弁護士テイシェイラ氏は、大統領子息の代父であり、灰色の関係が渦巻いている。