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中南米との新しい絆を=東京でシンポ初開催=日系若手リーダー招聘し=識者交えて意見交換=外務省

2月11日(金)

 【東京支局】昨年九月来伯した小泉首相が明らかにした日本と中南米諸国の新パートナーシップ構想。それに基づき、外務省は一月十九~二十九日まで、中南米諸国の日系若手リーダー招聘し、日本の識者らを交えて、意見交換会などを開いた。
 二十五日、外務省南国際大会議室で行なわれた東京会議には、十二カ国二十六名の中南米日系人若手リーダーが参加。モデレーターの小池洋一教授(拓殖大学)をはじめ大学教師、外務省、JICA、海外日系人協会の各代表六人が日本側から出席した。
 坂場三男外務省中南米局長はあいさつで「外務省は長年、中南米の日系人を対象とし招待プログラムを実施してきたが、このような会議は初めて。みんなが共に考え協議する出発点として、今日の会議を役立ててほしい」と述べた。
 続いた田岡功パラグァイ駐日大使は「移住者たちは日本の習慣の良いところを南米の子孫に植え付けてきた」と強調。
 若手リーダーのプレゼンテーションでは、ディノ・アニヤ・オシロさん(ペルー・弁護士)がペルー日系社会の概観を説明した。
 永住するつもりはなかった初期移民は混血が進む中で、ペルー社会で文化、経済など様々な活動を行ってきた。そうして日系団体は強化され、活発な活動を展開し現在、ペルー社会全体に貢献するようになった。日本から伝わった価値観は、二、三世への高い評価につながっているとした。
 さらに、「日本は、天然資源以上に人間の強みが、いかに大事であるかということを教えてくれた。その文化を再評価することがいかに大事か、それが私どもの社会発展につながることになる」と締めくくった。
 ブラジル代表のヴァルテル・シンジ・イイホシさん(サンパウロ商業協会副会長)は二〇〇八年にブラジル日本人移住が百周年を迎えるにあたり、さまざまなプロジェクトが進められている現況を語り、日系人が広く社会に受け入れられ各分野で要職についていると紹介した。
 また、現在百五十万人の日系社会では、混血が進み、新しい家族が生まれていることにも言及し、「日系人は、日本に祖先をもつことに誇りを持つと共に、日本に対し希望の目を向けている。即ち血の絆を超えた新しい絆をつくるという希望だ」とした
 パネリストの田島久歳・城西国際大学教授がラテンアメリカ諸国の日系社会、出稼ぎ現象の今後の展望などについて所見を述べた後、出席者は意見、提案を出し合った。
 最後はモデレーターの小池教授が、「非常に重要で深刻な問題が中南米諸国と日本の間に存在することをあらためて確認した。まず現実から出発する必要があると考える」とし、四時間にわたる会議は終了した。