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味の素=サンパウロ州内にリジン新工場も=定礎式に知事出席「雇用創出」など期待

2月11日(金)

 【既報関連】見渡す限りサトウキビ畑の広がる一角が整地され、真っ赤なテーラ・ロッシャが姿を見せる。日の丸と緑黄旗、サンパウロ州旗がはためく下に仮設テントが張られ、定礎式会場となった。
 四日午前、サンパウロ市から北西に約四百キロ、バウルー近くのペデルネイラ市で行われた飼料用リジン(アミノ酸の一種)新工場の定礎式に出席したアウキミン州知事は、「今日からカルナヴァル。この工場だけで百人以上が直接雇用され、間接雇用や関連サトウキビ産業への経済波及効果を考えれば、味の素は雇用創出というパレードを司るカルナバレスコ(演出家)だ」と、この時期ならではの比喩をした。
 リメイラ工場では現有施設で働く約六百人に加え、新たに百人以上を雇用する。来年下半期から稼動を始めるペデルネイラス工場では建設人員に千三百人と稼動時の直接雇用約百人、新規雇用こそないもののバウパライゾ工場ではすでに二百人を雇っている。
 同社ではアミノ酸事業が高成長・高収益であるため、今後の企業成長の要として位置付けている。すでに世界ナンバー1のシェアを持つが、積極的設備投資による生産力増強で、圧倒的なコスト競争力をつけるため今回の投資となった。
 この工場ではまず、養鶏や養豚に使われる飼料用リジンを年間五万九千トン生産することから開始し、最終的には二十万トンを生産する予定。現在、味の素全社での総生産が二十九万トンで、新工場を加えると約五十万トンとなる。「将来的にブラジルがリジン生産の中心となる」と広報はコメントした。
 同社はリサイクルや環境への影響も考えており、アミノ酸生産工程において出る多量の窒素肥料を、簡単にサトウキビ畑に還元できる点もブラジルへ工場を建てる大きな理由だという。
 アウキミン州知事は定礎式に先立って州軍警同市管轄にパトカー新車三台を配車し、この地区を治安強化地区とすることで便宜を図った。
 式典後、アウキミン州知事は記者団の質問に答え、「日系人の多くはサンパウロ州に住んでおり、州と日本は伝統的に強い絆で結ばれている」と語り、「移民百周年に向け友好関係を深めるつもりだ」と強調した。
 その後、一行はサンパウロ市から北西に五百キロ離れたパライーゾへ向かい、拡張された工場の竣工式を行った。