2月8日(火)
【ロンドリーナ発】「早ければ来年の新年会を新会館で迎えることができるかもしれません」。北パラナのロンドリーナ市中心部に所有していた会館を昨年十二月八日、プロテスタント系教会に三百万レアルで売却したロンドリーナ文化体育協会(ACEL)の鈴木勇会長は一月三十日、ニッケイ新聞社の取材に答えて、そう語った。「大切なのは、再び赤字体質にならないよう、十分に運営方法を考えること」と述べ、パラナ日系社会の中心的存在である同文協の、今後歩むべき道筋を示唆した。
鈴木会長によれば、ロンドリーナ市郊外にあるACEL運動場、カンペストレ(十五アルケール)に新会館を建てる計画を現在につめている。
昨年十二月に売却した会館敷地は一九三三年から所有している、市中心部の二万平米だ。千六百平米の会館をはじめ、野球場、テニスコート、ゲートボール場、二十五メートル・プール、十五メートル・プール、子供用プール、サッカー場など充実した施設があり、スポーツ振興に力を入れてきた協会の歴史を物語っている。
かつて全盛期、八〇年代には二千五百家族の会員があったが、デカセギの増加による空洞化、若い世代の文協離れなどにより会員減少の一途をたどった。会館を維持するだけで赤字という状態に陥り、水泳コーチ陣の労働裁判もあったため、昨年売却した。
今年からすでに、売却先の教会の若者がプールやバンド活動などに活用している姿が見られる。
「売ったお金で、借金を払っても、新会館を建てる資金ぐらいは残る。すでに土地はある訳だし、早ければ今年中に建築に着手し、来年の新年会は新会館で、という可能性もある」と鈴木会長は力説した。
カンペストレの奥部分に会館を建てると、巡回バスを降りてからたくさん歩かなければならないので、「手前にあるパーク・ゴルフの場所に会館を建て、申し訳ないがパーク・ゴルフには奥へ行ってもらうことも検討している」という。現在、その建築プランを固めており、いずれ正式に発表されるはずだ。
鈴木会長によれば、同文協の会員は千五百家族いるが、本部に会費を納めているのは二百五十家族に過ぎないという。本部に納めていない会員の中には、スポーツ部の会員として、部に払っている人も多いという。
再び赤字体質に陥らないよう、「施設を利用している人には、少しでも良いからメンサリダーデ(月会費)を本部に払ってもらえないかと考えています」と語った。「会館を郊外に移すのを機に、そのへんのシステムも現状に適応した形に変えていきたい」。
ACELの改革が上手くいけば、他のパラナ日系団体の再活性化モデルとなる可能性を秘めているとは、言えないだろうか。