2月3日(木)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二日】全国工業連盟(CNI)は一日、設備稼働率が二〇〇四年第4・四半期から低下し、在庫が予想以上に増えたと発表した。今回の事態は、中央銀行が〇四年九月から始めた高金利通貨政策がもたらしたものだとCNIは非難した。特に打撃を受けたのは、皮革や毛皮、繊維、製紙、段ボールなど、多数の労働者を雇用する部門となっている。しかし、中小企業は同条件下で、在庫管理に配慮したため影響は少なかった。
中央銀行の高金利政策が、工業界では実感できるという。製品の在庫は、五一・五ポイントから五三・八ポイントへ増えた。設備稼働率は、〇四年第3・四半期の八三%で止まり、例年起きる第4・四半期の加速化はなかった。
CNI調査部は、入手した報告資料に経済成長の陰りが見え始めたことに驚いている。陰りは大手企業に顕著で、通貨政策の結果を如実に物語っている。在庫は五〇ポイントを越すと、赤ランプが灯る。中小企業のそれは、五〇ポイントの寸前で止まっている。
サンパウロ州工業連盟(FIESP)のスカフ会長は、〇五年にはやっと回復した経済成長に陰りが現れることをすでに予測していたと述べた。高金利とドル安という政府の無為無策ぶりにより、誰もが景気回復の終焉を予想していたという。
CNIの在庫滞貨報告は、工業界の成長減速の第一報に過ぎない。経済政策に変更がなければ、〇五年は惨たんたる経済成長率を拝むことになると同会長は警告した。最大の問題はインフレ抑制を目的とする中銀の高金利政策で、それは設備投資に止めを差し、消費を減退させる。さらに貿易収支を狂わせる。これだけ国内市場を荒廃させれば、物価は安定するに決まっていると皮肉った。
公共料金が原因のインフレ高進を抑えるため経済を減速させるのは、愚の骨頂であると同会長はいう。中銀自身が、目標インフレ率五・一%を上回る公共料金の六・七%増がインフレの要因であり、金利は公共料金の値上げに関係ないことを認めた。
〇四年の在庫が〇五年の生産活動に及ぼす問題点は、多数の労働者を抱える業種にある。在庫が特に多い皮革や毛皮、衣料、靴、反物、紙、段ボールは労働集約産業だ。景気の減速は大企業ほど、中小企業には見えない。
在庫量と設備稼働率は、工業の健康度を測る体温計。ブラジル地理統計院(IBGE)は七日、〇四年十二月の生産状況を発表する。経過は上々と恐らく発表されると関係者はみる。CNIはその先を心配している。財界人の楽観的観測度は、五〇ポイントを普通として、六八・四ポイントから六六・四ポイントに落ちた。
両工業連盟は減速経済から工業界を救うために、金利引き下げよりも減税を議会へ働きかける方針だ。政府の重税政策は限界にあり、工業界は点滴を要する末期症状にある。政府の債務率も企業への税率も高く、しかも政府の債務政策は拙劣で、借入金が政府機構の中で生かされていない。政府の歳出や財政投融資、社会福祉は放漫経営そのもので、財務諸表として形を成していないとした。