2月2日(水)
【ヴェージャ誌】国際経済の権威であるハーバード大学のエルハナン・ヘルプマン教授は「南北格差は資金力の格差だけではない。各国の社会格差が問題の原因だ」と、豊かで貧しい国ブラジルを間接的に批判した。ヴェージャ誌記者に、次のようなブラジルの問題点を明らかにした。
【ブラジルの金利政策は】中央銀行は金利を経済サイクルの指標に使うべきで、インフレ抑制の道具に使うべきではない。経済が上向くと、すぐに金利を引き上げる。ブラジルの金利政策は経済が順調に向上している時はよいが、左前になったら混乱を来す。経済成長は金利政策が生み出すものではない。
【社会格差が経済成長を妨げるとは】それは正式な経済理論ではないが、統計上いえること。社会格差と所得格差の少ない国ほど、多い国より高い成長率を示す事実がある。
【富の分配と経済効果とは】同率に富の分配が行われても、富裕層が貧困層より富み、格差は益々広がる。経済の面で見れば、全般に生活が向上するので、問題が見落とされる。しかしモラルの面で見ると、社会の成り立ちが両者の場合に異なることが分かる。
【理想的な富の分配は】多くの国で富の移転を行っているが、単なる生活扶助は無意味。貧困者が扶助金に依存するのは間違いで、富の分配にはならない。貧困者も訓練と勉学の意欲を養うことが肝要。常に自立をモットーとし、組織の壁や有力な第三者などに寄り掛かって生きる習慣を改める。収入を増やすための投資を怠らない。
【経済成長に役立つ組織は】組織や機関を、よく監視する必要がある。組織が政治力を培って職員のための組織になり、下層階級を食い物にして私腹を肥やす組織に変貌し易いからだ。富の分配という組織本来の目的を忘れてしまう。
組織は時代に合わせて常に刷新すること。時間の経過とともに形骸化し、費用だけを無駄使いして本来の役目を果たさなくなる。例えば、労働裁判所はもはや無用の長物だ。
労働法が簡素で負担の少ない国へ仕事は行く。これからの企業は労働賃金の安い国へ下請けに出すか、出稼ぎ労働者を迎える。現実に即さない労働法に固執すれば、雇用創出よりも雇用の削減が進む。
【経済成長には、どんな企業が求められるか】国の文化レベルが向上する程、難しくなる。ある時は金融であり、ITである。共通しているのは容易に資金を捻出できる企業といえる。しかしシリコン・バレーの例を見ると、何がよいかは判断が難しい。車庫で細々と営業していた企業が、世界のトップに成長する時代だ。
【中国経済発展の秘密】中国は知的所有権を守った。これだけでも、大口投資を呼び込める。中国の改革は経済だけに止まらず、政治にも見るものがある。
【米国の双子の赤字は】米国の財政赤字は、これ以上放置できない限界にあると世界各国が見ている。早晩増税か予算カットかの調整は必要。何時行われるかが問題だと誰もが思っている。遅れるほど経済不安が深刻になる。世界経済に悪影響を及ぼし、インフレを引き起こす。インフレが収まると、米国債を持っていた者は大損をする。