2月1日(火)
女性では初めてフェスチバル・ド・ジャポン(日本祭り)の実行委員長に就任した奈良県人会長の有北和田之示さん(二世)が一月二十八日夜、腸ガンのためサンタクルース病院で死去した。72歳だった。葬儀・埋葬は家族や日系団体関係者の出席の元、二十九日にカンポ・グランデ墓地で行われた。
サンパウロ州プロミッソン市生まれの有北さんは、南米銀行の秘書として長年、橘富士雄氏や相場眞一氏に仕えた。ブラジル日本都道府県人会連合会(県連)でも女性では初の副会長として留学生問題などに貢献。的確な仕事ぶりと穏やかな性格が評価され、昨年秋には女性では初めて、日本祭りの実行委員長に抜擢。七月の開催に向け、準備を進めていた。
二十八日午後に行われた県連の代表者会議でも有北さんの健康問題が議題に挙がっていたが、二十九日朝に連絡を受けた中沢宏一会長は重い口調で「ガンだとは知っていましたが、まさか……。二週間前に自宅に呼ばれ、打ち合わせをしたばかりなのに」と話す。
中沢会長によると、昨年から闘病生活を送っていたが、年明けにさらに体調が悪化していたという。ただ、女性初の大任だけに、いつも日本祭りのことを気にかけていて、二週間前の打ち合わせでも「今年は子供が参加できる運動会や相撲大会などを企画してはどうか」などと中沢会長に提案していた。「県連だけでなく、コロニアにとってもあのような有能な二世の女性を失ったのは損失です」と力なく呟く中沢会長。
県連では二月一日に臨時の執行部会を開き、有北さんの後任人事を検討する。現在副委員長を務める高橋一水副会長と田畑稔副会長のいずれかの昇格が濃厚と見られる。