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ついの棲家・アチバイア愛した半田さん=文協へ絵を贈る=娘のアリッセさん、遺作の中から

1月29日(土)

 アチバイア日伯文化体育協会(辻修平会長)の本部事務局がある日伯文化センターの正面玄関ロビーに、古い教会を描いた一枚の大きな油絵(=写真)が昨年末から飾られており、訪問者の目をひいている。
 同絵画は、日系コロニア画家たちの最も古い集まりで、多くの有名な画家を育てたサンパウロ美術研究会「聖美会」の創立者の一人、半田知雄氏の作品。同氏は、晩年をアチバイア市で過ごし、老人会の活動を通して文協とも交流があったため、次女の中川奈美子アリッセさんが、現在保管されている残り少ない遺作品の中から同センターへ寄贈した。
 半田氏は八十二歳の時、健康上の理由で、サンパウロ市から中川さんの住むアチバイア市へ移り、一九九六年に九十歳で亡くなるまで同市で過ごした。アトリエを構え、周辺地域の古い建築物や自然の風景を題材に創作活動に励んだほか、地域の文協内の老人会・清流クラブにも積極的に参加し、空気清涼、気候良好な同市をこよなく愛したという。
 中川さんは同文協の会員でもあり、「半田さんが晩年をアチバイアで楽しく過ごされていた記念として、中川さんが寄贈を申し出て下さった」と同文協の吉田治美事務局長は経緯を説明している。
 農村風景や農民の働く姿など、移民の生活を主な題材として創作活動を行なった半田氏。ブラジルにおける日本人画家のパイオニアの一人であると同時に、文筆家としても知られており、八百ページに及ぶ『移民の生活の歴史』(サンパウロ人文研発行)は、ブラジル日本移民史を知るうえでの貴重な資料となっている。