1月28日(金)
【フォーリャ・デ・サンパウロ紙二十七日】スイスのダヴォスで開催中の世界経済フォーラムで米国国際経済研究所(IIE)のフレッド・ベルグステン氏は二十六日、ブラジルが米州自由貿易圏(FTAA)構想で合意に手間取っているのは、ブラジルだけの責任ではないと報告した。巧みに世界経済を操って、米国と国際金融へ有利に誘導するグローバリゼーションの綾を同氏は指摘した。これは別段目新しくはないが、同氏は数字で事実を証明した。
ベルグステン氏は、グローバリゼーションの中でもがくブラジルを一例として紹介した。FTAAは、締結の最終期限〇四年十二月三十一日に至っても合意に達しなかった。米政府を批判しながらも米国民は、自由貿易とグローバリゼーションを別ものと明白に認識していると、同氏はフォーラムで述べた。
ブラジルはまだ認識していないようだが、もうひとつのリスクがある。日本と中国、韓国を中心に形成されつつある東アジア自由貿易圏が、ブラジルへ及ぼす影響だ。東アジア自由貿易圏が発足すると、世界は米州とEU、東アジアの三大経済ブロックが完成する。
東アジア自由貿易圏には、現在進行中のグローバリゼーションを制御する可能性もある。日中貿易は、日米貿易を凌駕した。中国は対日貿易で一九・二%から二〇・一%へ上り、伸び悩む日本経済にとって重要な地位を得た。日本の対米貿易は二〇・五%から一八・六%へ減少。しかし日米関係は数字よりも、密接な関係がある。この事実を、ブラジルはどう見ているか。
これまで米国は、グローバリゼーションで年間一兆ドルも潤った。ブラジル二つ分以上の金額だ。特に稼いだのは国際金融部門で、年間成長率一九%とブラジルの四倍にもなる。そして金融部門は〇五年も好調だ。グローバリゼーションというパイプを通じ、世界の富は米国の国際金融へ吸い上げる仕組みになっている。
二〇一三年には〇四年の三倍の早さで米国に向かって、世界の富が集中すると予想される。金融界の成長率は、産業界の成長率を常に上回る。過去五年間、EUも米国の国際金融へ資産の移転を行った。
ブラジルの産業界を悩ませているドル安攻勢は、グローバリゼーションと併せて両刃の剣とファイナンシアル・タイムスが報じている。米政府は長期間ドル安政策を採り、財政収支の赤字是正に努めるとみている。
貿易収支の赤字是正には、二つの方法がある。輸出奨励と輸入代替だ。しかし、米政府には貿易収支の赤字是正に向けた設備の近代化努力は見えないと、同誌が疑問を呈している。米国は年間、一兆五千億ドルの工業製品を生産し、稼働率は七九%。財政収支の赤字は、国内総生産(GDP)の四〇%もある。
ブッシュ大統領の公約通りに双子の赤字をなし崩すには、一〇〇%以上の稼働率が必要になる。このような数字を見る限り赤字解消宣言は非現実的で、何のためのドル安なのか理解に苦しむ。米国の本音は、国際金融による世界経済支配なのかと同紙が指摘する。