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錦鯉泥棒 ブラジル金閣寺=捕らえた犯人釈放され報復=凶悪、管理人に暴行=泣き寝入りの状態

1月27日(木)

 イタペセリカ・ダ・セーラ市のブラジル金閣寺が、ちょくちょく錦鯉を盗まれるなどの被害に遭っている。このため、最近池から大型の鯉がめっきり姿を消してしまった。隣接する円覚寺の関係者が一度、犯人を捕え、警察当局に身柄を引き渡した。しかし、まもなく釈放された犯人が四~五人で報復。管理人が殴る蹴るなどの暴行を受け、泣き寝入りの状態だ。警察のパトロールが強化されるなど、防犯対策が講じられているものの、予断は許されない。関係者の一人は「仕返しが怖くて、手出しが何も出来ない」と唇を噛み締めている。

 ブラジル金閣寺は観光客誘致のため、環境整備に注力。池には無数の錦鯉を放流して、来訪者が自由に、餌を与えるように図っている。また、僅かながらも餌を販売。維持運営の足しにしている。
 錦鯉が無断で持ち去られるなどの被害に遭うようになったのは、一昨年ほど前から。深夜から未明にかけて、円覚寺側の入り口から侵入。網を使って、一度の犯行で大量に捕獲していったこともあるという。
 同寺の関係者が犯人を捕らえ、警察に突き出した。この後、釈放された犯人が四~五人のグループを組んで報復。住み込みで働いていた日系人男性を、銃で脅して暴行を加えた。
 そのため、この男性は退職。ブラジル男性が、管理人になった。だが、治安の悪化を恐れて間も無く仕事を辞め、日本人男性が先頃、新たに採用された。
 住職の大畑天昇さんは「被害に遭っていたのは、一昨年から昨年にかけて。今は周囲を塀で囲い、警察にも巡回パトロールに来てもらっているので、落ち着いています」と問題が解決に向かっていることを強調する。
 関係者の一人は「反抗すればやられるので、相手のされるがまま。鯉だけで済むだけならと思って…」と明かす。
 今年に入って同金閣寺を訪れたある日本人女性は「昨年訪れた時には、大きい錦鯉がたくさんいたのに、今は小さいのしかいなくて寂しくなった」と残念がった。
 鯉の中には、篤志家による寄贈もあるという。犯人は、寺に危害を与えるだけでなく、観光客の楽しみと協力者の好意を踏みにじっているようだ。