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資産家の真意どこに=文協に日伯総合センター建設?!=東京在住天野鉄人さんが提案=20階建てツインビル「一億レアルは安い」=独演会で70人をほんろう

1月22日(土)

 「天野さんはコロニアの節目節目に顔を出して何かやるんだが、その真意がどこにあるか分からんのだ」。二十日午後七時から文協小講堂で、東京在住の天野鉄人さん個人が打ち出した百周年記念事業案〃日伯総合センター〃についての説明会が行われ、約七十人集まった出席者の一人、スザノ福伯村の大浦文雄さんはそのような感想を漏らした。本筋の百周年祭典協会や文協からは、ほとんど役員が顔を出さず、最後は〃言葉の乱闘〃状態になるなど、一風変わった独演会となったようだ。

 終盤、天野さんはステージ中央にマイクを持って直立不動、「私という人間性はクズです。ですが、ポンプに水を入れ(資金を出す)、呼び水になることはできます。私は親の命より、お金が大事な人間です」と真顔で語りかけた。
 「質問があるかと思っていましたが、私がいくら出せるか知りたい人はいますか?」と、いかにも、という雰囲気を漂わせた。しかし、新宿にビルを持つという資産家に、最後まで金額を問う人が出なかったことが、その場の雰囲気を雄弁に物語っていた。
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 今回、天野さんが建築家の平野カンジ・マッキンゼー大学教授に依頼して作った〃日伯総合センター〃案は、百周年記念祭典協会が決議しているものと名前が同じで、非常にややこしい。ところが、祭典協会役員の吉岡黎明プロジェクト委員長によれば、「何の関係もない」という。
 十四日に来伯し、二十九日まで滞在するという天野さん。肩書きは(財)サンパウロ青年図書館理事。コロニア・ピニャールに私財を投じて作った日本語図書館のそれだ。
 ブラジル側代理人の吉加江ネルソン正健さん(宮崎県人会長)の司会と通訳で、まず天野さんは趣意書を読んだ。その後、平野教授がプロジェクターを使って完成予想図や図面を映しながら説明。
 文協すぐ横の軍が使っている建物(約二千平米)を買って、現在の文協の土地と合わせ、そこにヴィラ・レオポルジーナ区に建設予定の『日伯総合センター』を建てるという、独自のプランだ。
 第一段階では、軍建物を壊して二十階建て一棟を二千八百二十六万ドル(土地代込み)かけて建設。第二段階では、現在の文協ビルを壊して、第二棟目を九百二十一万ドルで作る。総工費は三千七百四十八万ドル(一億千二百四十五万レアル)という。
 天野さんはこの総工費を「私が考えていたのの半額。この金額なら日本政府から満額以上でるかもしれない。こんなに安く出来るとはビックリした」と評価し、日本との強いパイプをにおわせつつ、「ビルをして語らせるほど立派なものを立てて欲しい」と注文をつけた。
 ビルの中身は、「二十歳以下の若い人にしか、ブラジルを良くすることはできない。建物の七〇―八〇%の使い方は彼らに任せたらいい」と考えている。
 さらに「現在のヴィラ・レオポルジーナ(の日伯総合センター)が実現すると思っているのは、ほんの一部の人、役員だけ」とこき下ろしながらも、「ブラジルが生み出した最大の人格者は、渡部和夫先生です。渡部先生は憂国の士です」と持ち上げた。
 会場からは、「天野さんは田舎に図書館を作ったかもしれないが、サンパウロの文化団体にはビタ一文寄付してない」との声もあがり、開始から三時間過ぎた十時ぐらいから会場を巻き込んだ〃言葉の乱闘〃状態になった。
 聴衆の一人は、「我々をずいぶんバカにしてる。そんなんだからお前らはダメなんだとか、お前ら金が欲しいんだろうと言われている感じがした。日本の人から、新しい良いアイデアが聞けるかと思って期待して来てみたんだけどね」と残念そうに語った。