1月20日(木)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十九日】国連は十八日、ブラジルは二十一世紀計画の中で目標と定められている、二〇一五年までの貧困撲滅が達成困難であると発表した。ブラジルの十三地域に、アフリカのウガンダ並みの生活水準にある極貧層の人々が、二千六百万人存在すると国連調査部が報告した。ブラジルが貧困撲滅に向けて努力を怠るなら、極貧層はブラジル経済の発展を阻害する病根となり続けるであろうと警告した。
二十一世紀計画の「貧困撲滅」目標達成で、ブラジルの努力はあまり期待できないと国連はみている。ブラジルの南部から北部にわたり、人間開発指数(IDH)が世界で百四十七番目のウガンダ並みである十三地域が散在する。
ブラジルがこれら極貧層集結地域に特別の注意を払わないなら、この層が常に経済発展の足かせになると警告した。国連調査団は、二〇一五年までに八つの達成目標を立てている。主な目標は極貧層の半減、義務教育の普及、乳児や産婦の死亡防止など。
南東部や南部地域の上流層は、先進国の上流層並みの生活水準を保っている。国連調査団の見方では、ブラジルには厳密な意味での中流層は存在しない。上流層と下層の上と下しかないという。下の下はアフリカ並みで、大都市の中にもスペインの貧民街が存在するとみている。
ブラジルで生活水準が最も高いサンカエターノ・ド・スル市は、人間開発指数〇・九一九でイタリア並み。最も低いペルナンブッコ州マナリ市は、指数〇・四六七でハイチ並みとされる。ブラジルのような極貧層を抱える国は、国民が一丸となって組織的に貧困撲滅へ取り組まねばならないという。
国連のブラジル代表部は、十三地域の六百郡への電化工事、上下水道の敷設、簡易住宅の建設、産児計画の指導などで国民の関心を喚起した。それには、まず極貧層への偏見を除去する必要がある。次に弱者に手を差し伸べるプラス・アルファーが求められる。
ブラジルは、悪いことばかりではない。義務教育の促進とエイズ対策では、かなりの成果があり、模範国となった。ブラジルは両面が極端なため、格差の是正が必要だとしている。
国連の食糧農業機関(FAO)は、国内に飢餓層が存在するのは国民のモラル欠落だと糾弾している。飢餓を政治の不在と認識する国連は、十年以内に世界の飢餓人口を半減させることを目標とした。FAOは、飢餓線上にある世界の人々を餓死から救うだけの資力を有していると声明を発表した。
政府と国際通貨基金(IMF)の間で、国連の極貧層指摘が話題になった。政府はIMFの要求を満たすため財政黒字達成に努力する反面、餓死者の口から一さじのスープを奪った。極貧層地域への公共工事予算を削減し、財政黒字に努めた。
極貧撲滅資金を有産階級から捻出し、IMFにも事情を説明するべきだと国連は提言した。二十一世紀計画のメンバーでもあるIMFは、ブラジルの極貧撲滅への協力を検討する。だが貧困層と関係が少ない政府の過重債務が悩みだ。