中国の人口が十三億人を突破した。今でも古稀を過ぎた日本の人は「支那にや四億の民がいる」の歌を口にしたものだがそれがあっという間に十三億人とは―。世界の人口は約六十一億人。その二〇%超を占める中国はまさに「人口大国」と呼んでいい。この十年間で一億人も増えている。パラグアイやボリビアの五百万人や六百万人を考えると、一億人の大きさがよくわかる▼爆発的な増加とは、こういうようような現象を指すのだろうが、中国政府も「産めよ増やせよ」と国民を鼓舞したわけではない。余りの増え過ぎに「一人っ子政策」という厳しい制限をしてきたのだが、それでも増える。あの国には昔から大家族主義的な習慣があり「子供は一人だけ」には猛反発したけれども、当局としても「人口増加」を放ってもおけない▼これからもまだまだ増えるのは確かだが、この「一人っ子政策」が生み出したものに高齢化社会がある。これも今まで何処の国も経験したことのない猛スピードで到来する。2030年には六十歳以上が四億人超になるそうだ。これだけでもブラジルや日本の人口よりも多いのだから社会保障や老人たちの世話だけでも国家の一大事になるのは間違いない▼日本の人口も増え続けてきたが、来年からは「減少」に入る。江戸末期で約三千万人超とされたのが一億人になるのには、ほぼ百年掛かった。医学の進歩と食料改善が増加へと押しやったのだが、中国の人口急増も「豊かな社会」が現実になった結果と見ていい。とは―言って増え過ぎても困るのだが―。 (遯)
05/1/15