1月14日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十三日】サンパウロ州サンベルナルド・ド・カンポ市で十二日午前三時ごろ、五カ所のファベーラ(スラム街)で土砂崩れが発生し、九人が死亡した。このうち八人は生後十一カ月から十三歳の子供だった。そのほか八人が負傷し、病院に収容されたが幸い軽いけがですんだ。
警察と消防によると、十一日末の集中豪雨で地盤がゆるみ、土砂が崩れると同時に大木が倒れ、家屋がその下敷きとなって惨事を招いたという。被害のあった地区はいずれも市の危険地区として指定されていた。
最も被害の大きかったジャルジン・シルヴィーナ区のファベーラでは五軒のバラックが土砂の下敷きとなった。このうちの一軒では母親は辛うじて救助されたものの、寝ていた六歳から十二歳の子供四人が逃げ遅れて死亡した。母親は病院で手当てを受けて現場に戻ってきたが、四人の子供の死を知りショックで昏倒して病院に逆戻りした。
また別の一軒では母親と三人の子供が犠牲となった。父親も土砂に埋もれたが、幸いにも顔がガスコンロの下方部分に入り込んだため窒息を免れ、二十分後に隣人に助け出された。病院に収容中だが、家族全員の死を知らないでいる。大量の土砂のため、救助活動は十二時間に及んだ。
いっぽうでビラ・エスペランサ区のファベーラでも土砂崩れで数軒が被害にあい、七歳の男の子が死亡した。また同市に限らずサンカエターノ市やサント・アンドレ市のファベーラ地帯でも土砂崩れが発生した。負傷者は出なかったものの、住民多数が避難を余儀なくされた。
同市当局によると、ABC地区に十三カ所の排水溝があり、二百二十万立米の能力があるが、間断なく降り続いた雨で排水が間に合わなかったと説明している。しかしこれがなかったらさらに大惨事を招く結果になったとし、改めて排水溝の重要さを認識した。州当局によると、サンカエターノ市と、アンシエッタ道にそれぞれ排水溝を新設する予定とのこと。
同市には危険地域と指定された個所が十七カ所あり、約五千人が居住している。一九九八年以来、同市では四万五千人を危険地区から立ち退かせているが、今回の災難を機に、行政監督官に対し、全市内の点検を新たに命じた。