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サンバの魅力にズッポリ=カルナヴァル目指しやってきた日本人女性3人=親は反対強行突破 自分を活かせる道

1月13日(木)

 今年もカルナヴァルがあと約三週間に迫り、日本からサンバを習いに若者が続々と来ている。はるか地球の反対側までやってきた日本人女性三人に、ブラジル音楽にかける熱い想いをたずねてみた。
 三人とも日本最大の浅草サンバパレードの常勝チーム、バルバロスに所属し、現在はベラヴィスタ区にあるエスコーラ・デ・サンバ(サンバ学校)VAI・VAIで練習をしている。
 昨年十一月中頃、先陣を切って初来伯し、バテリア(打楽器隊)の練習に参加している野尻祐宜子さん(ゆきこ、29、東京)。「打楽器がこんなに大人数で演奏するのはエスコーラだけ。サンバの魅力にズッポリです。本場の雰囲気を体験したくてやってきました」という。
 ブラジルにサンバ修行に行きたいと親に打ち明けた時、「最初、本気で聞き入れてくれなかった」そう。一計を案じた野尻さんは、「強行突破、勝手に旅行プランを練り航空券を買ってしまいました。最後には、なんとか同意してくれました」という。
 もともとラテン音楽のパーカッションをやっており、〇二年からバルバロスに参加。昨年東京で、テンペーロ・ブラジレイロというバンドを立ち上げ、これからサンバ・ショーなどをする予定になっている。
 東京でブラジル・ダンスを教えているパッシスタ(ダンサー)の若松裕美さん(28、千葉)は、サンバ歴七年。九九年に大学の卒業旅行でリオのカルナヴァルを見て感動したのが初来伯。日本に帰って、すぐバルバロスに入った。
 二回目となる昨年は、リオのベイジャ・フロールにも衣装を買って出場。バイーア州に四カ月間、アシェやアフロの講習も受けに行った。今年は七日に来伯し、VAI・VAIのパッシスタのアーラに出場する。
 「日本人は大人になってから趣味で始めた人ばかり。ブラジルでは子どもの頃からサンバが生活の一部で全然違う。とにかくブラジルの音楽とダンスが大好きなんです。日本にそれを広めたい」という希望を持っている。
 葛西叙江さん(通称ジョエ、31、埼玉)は九九年に浅草を見に行き、「スゴイ、出たい、楽しそう」と直感、翌年からバルバロスに参加。サンバ歴は四年半。「あんな派手な衣装は他にない。これこそ自分を活かせる道だと思った」と確信した。
 大学では哲学を専攻。かつて劇団で役者、モデルなどもやった。今回は若松さん同様、パッシスタのアーラに参加する。百七十四センチの長身を活かし、華麗にサンバ・ノ・ペを踏むと、VAI・VAIの練習場でもブラジル人からの視線が集まる。
 「みんなで一つのものを作り出すのが好き。その感動にはまって浅草に出ています」。昨年十二月五日に今回は来伯し練習に通う。「衣装を買って楽しむためだけに出るのと、何カ月も一緒に練習してから出るのでは、みんなとの一体感が違う。でも、言葉が分からないから、思うようには動けない」と残念がる。
 最初、親にブラジルへ行くと言ったら、「バカなことばっかり言って」と怒られた。昨年二月、二回目に来る時には、その旨、書置きだけ残してきた。「母親から、(書置きを見て)気絶するかと思ったと言われました」という。
 「もっと日本でサンバが盛り上がってくれれば」と考え、専門の雑誌を創刊するのが夢だという。
 移住者にはあまり縁のないサンバだが、日本の若者には魅力溢れるブラジル文化の一つ。日伯交流の一端を担う重要なイベントが、カルナヴァルのようだ。