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レアル高、ユーロを超える=2年間で35%高騰=輸出後退で後々失業増加=「取り返しつかぬ過ち」と工業界

1月11日(火)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十日】米政府のドル安政策が輸出競争力を最も弱めたのは、ブラジルのレアル通貨であることが九日、イタウー銀行の調査で判明した。〇三年と〇四年の二年間に米国市場で取引を行った主要国の通貨の中で、レアルがインフレ率を差し引いて三五%と最も高騰した。続いてEUの通貨であるユーロが二二・六%、カナダドルの一九・七%、日本円の九・三%。中国の人民元はわずか二・六%と、巧に為替が操作されている。

 ブラジルは高金利政策も手伝って、レアル通貨の高騰が進んだ。世界最強の通貨とされるユーロや円を押さえて、レアルは三五%と最も上伸した。反面、輸出は苦しい局面に立たされた。中国は巧みな為替政策により人民元の高騰を二・六%に抑えた。
 イタウー銀行の調査は、ドル安の影響を各国の通貨別に比較することを目的とした。米国市場を中心に中国や日本、EUなど主要取引国とブラジルが比較調査された。これら四カ国は、米国の入超で、ブラジルの一%を含め米国の輸入の七五・九%も占める。
 四カ国の中では、レアル通貨が市場競争の点で最も不利な立場にある。通貨だけを観察するなら、〇二年のレアル通貨の大幅切り下げは完全に克服した。さらにレアル通貨は〇四年、一六・九%回復し、過去六カ月間に一八%も高騰した。
 工業界は政府の緩慢な為替政策に対し、長い間強い不満を漏らしてきた。通商研究センター(FUNCEX)とサンパウロ州工業連盟(FIESP)は、政府が為替操作でインフレを押さえるのは重大な過ちだと糾弾。国家経済に取り返しの付かない災厄を招くと警鐘を乱打した。
 すでに前政権の九四年と九九年に、同じ過ちを犯し国民はその修復過程において塗炭の苦しみを味わった。政府当事者の無知さ加減に両団体は呆れている。レアル通貨の高騰は中央銀行の高金利政策がもたらすもので、通貨の体質改善ではないとFIESPは指摘した。
 世界各国は低金利政策でデフレ金利を執行しているのに、ブラジルは実勢金利一三%と、時代に逆行している。政府はドル資金を金融市場へ導入しようと、高金利政策を採った。しかし、ドル安の津浪が押し寄せる現在の金融市場の波に乗せられるなら、早晩ドル通貨とともに恐ろしい奈落の底へ落とされるとみる。
 レアル高という茶番劇はいつも悲劇的な結末を迎えると、FIESPが次のように警告した。現在の為替管理不在が将来、制御不可能な通貨の下落とその置き土産であるインフレを招く。アジア諸国は現在のチャンスを捕らえ、外貨購入に奮闘しているが、ブラジルは何もしていない。
 現在の失敗は、〇五年か〇六年にツケを払わされることになる。一ドルが三・一レアルから二・七レアルに下落すれば、輸入品は値下がりするはずだが何ら動きがない。しかし、二・七レアルから三・一レアルに跳ね返れば、消費者価格は自動的に調整される。
 現在のレアル通貨高騰は、過った為替政策の結果だという見方だ。中央銀行は金融市場の番頭で、産業界など一顧だにしない。レアル高による輸出後退は、即時ではないが深刻な失業を招く。輸出業者は中期や長期の輸出契約を抱えているが、それが終わったら産業界にボディブローが効いてくる。