1月11日(火)
「道にたむろしている若者に就業の機会を」との西村俊治さん(94、JACTO農機創業者)の長年の思いが実り、一年前から建設を進めていた西村智恵子職業学校がポンペイア市に完成。八日、同学校前で記念式典が行われた。西村さんの作った学校は西村俊治農工学校、西村俊治小学校に続き三つ目だ。
式典にはジェラウド・アウキミンサンパウロ州知事、ポンペイア市のアウヴァロ・ジャヌアリオ市長、サンパウロ総領事館の山口克巳領事、ブラジル日本文化協会の吉岡黎明副会長も出席、多数の報道陣の他、同市や近郊の街からも五百人近い人が駆けつけた。
二階建ての同校内部を歩いて見学した後、午後三時半に式典が始まった。
西村さんの子供を代表して六男で現JACTOグループ会長のジョージさんがまず挨拶をした。「今までブラジルは自分のために何でもしてくれた。その恩返しをするために学校を作った」と西村さんの思いを代弁。
ジャヌアリオ市長が西村さんの同市に対する功績を称えると、アウキミン知事も「西村さんをはじめ、その一族はポンペイア市だけじゃなくサンパウロ州、ひいてはブラジルにも大きな貢献をしてきた」と語り、小学校卒業以上の学歴なら無料で通うことのできる同校を「全ての人に働き方を教えてくれる学校だ」と絶賛した。
同校はジャヌアリオ市長の希望で二〇〇一年の十月に九十歳で亡くなった西村知恵子夫人の名前がつけられている。
実際に授業が開始するのは四月からの見通しで、一学年につき約百人の定員だ。三年かけて機械の組み立て方や操作方法、コンピューターなどを学ぶ。
式典に出席した南重義さん(81)は西村さんがポンペイア市に来る前から同地で暮らし、西村さんが作った農器具製造会社「JACTO」の成長と街の発展を見守ってきた。「この学校に通うことで、子どもたちの未来が開ける。この学校を出た生徒たちはどこに行っても通用する」と、西村さんが作った同校がまた人の役に立つことを確信する。
現在、JACTOの工場では二千人が働いているが、さらに一千人の労働力が必要という。同校を卒業した生徒にはここで働く道もある。
式典後、記者のインタビューに西村さんは「いくら技術を教えても、それはいずれ役に立たなくなる。学校は人間を作りさえすればいい」と教育の重要性、西村イズムにかける熱い想いを語った。自ら校長を務め西村イズムをたたき込む。