ホーム | 日系社会ニュース | 五所川原ねぷたがカーニバルへ=来年のサンパウロ市アギアの山車で=予算組み、来週末出航予定=初国外に市長「大変名誉」
五所川原市の巨大立佞武多(無料写真素材サイト「足成」より)
五所川原市の巨大立佞武多(無料写真素材サイト「足成」より)

五所川原ねぷたがカーニバルへ=来年のサンパウロ市アギアの山車で=予算組み、来週末出航予定=初国外に市長「大変名誉」

 青森県五所川原市の巨大立佞武多(たちねぷた)「鹿嶋大明神と地震鯰(なまず)」(高さ23メートル、19トン)が来年2月のサンパウロ市カーニバルへやって来る。近年上位の有力サンバチーム「アギア・デ・オウロ」の来年のテーマは、日伯外交樹立120周年。昨年カーニバルに参加した経験のあるファッションデザイナーのコシノジュンコさんと同チーム関係者が8月、同祭りを訪れたのがきっかけでこの話が動き出した。

 日本のファッションデザイナー・コシノジュンコさんは「アギア―」関係者と8月4~6日に行なわれた「立佞武多祭り」を視察した。同チームは来年のテーマに合わせて、日本の伝統的祭事を取り込む調査に赴いていた。
 その時、同祭りを目の当たりにしたカルナヴァレスコ(総合演出)のアマリルド・デ・メッロさん(47)は、「素晴らしいの一言。紙でできているなんて信じられない。お祭りも見事な演出で、参加者との間に生まれるエネルギーがカーニバルと類似したものを感じた」と本紙の取材に応えた。
 祭り前日には観光施設「立佞武多の館」にも足を運んだ。同行した市関係者によれば、展示される立佞武多を見てコシノ氏も「鳥肌が立つほど感動した。この魅力を世界の人たちにも知ってほしい」と平山誠敏市長らに語ったという。
 そうした経緯もあって朝日新聞などの報道によれば、五所川原市は市長や作業員19人の渡航費、国内輸送費として約2200万円を予算化した。五所川原市観光物産課によると、大型の立佞武多が国外のイベントに参加するのは初めて。
 本紙のメール取材に対し、平山市長は「海外初出陣にあたって、ブラジル青森県人会や日系人など多くの方々を元気づけたい。世界的なイベントに参加するのは大変に名誉なこと。世界中にその勇姿を発信できる千載一遇のチャンスと捉え、国内外からのご声援をお願いしたい。日伯のさらなる友好化にも期待」と答えた。
 来年2月14日の本番まで期日も迫り、通関手続きなどの不安も残すが、今月21日前後の海上輸送に向け、制作者の福士裕朗さん(33)らが解体作業中と、すでに日本では大々的に報道されている。福士さんは「地元でも大きな話題」と喜びをあらわにし、「輸送、現地での台上げ作業と進んでいくが、安全第一で大成功に終わるようがんばりたい」と心待ちにしている様子だ。
 東日本大震災の復興を祈願し、2012年に製作された「鹿嶋大明神と地震鯰」だが、カーニバル会場は15メートル以内という高さ制限があるため、台座がない人形部分(14・2メートル)が運行される予定。同ねぷたは終了後、チームに寄贈される見込みとなっている。