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毎日指圧サービス=「同じ悩み持つ人助けたい」

新年号

04年1月1日(木)

 肩こり、腰痛、手足の関節痛……。高齢者の二人に一人は身体に何らかの不調を訴えていると言われる。体の痛みで歩行が困難になれば、寝たきりになってしまう恐れがある。血行を改善、健康増進に効果を持つ指圧は、健やかな長寿社会を構築するための良き〃パートナー〃。多くの自治体が高齢者サービスに東洋療法を取り入れている。
 国際協力機構(JICA)の元職員、平間浩二さん(六二、東京都出身)=サンパウロ市=は在職中に指圧師の免許を取得。月に一回、サントス厚生ホーム(斎藤伸一ホーム長)で奉仕活動に励んでいる。
 「持病のヘルニアには、ずいぶん悩まされ、若い頃から指圧師の世話になりました。今度は、自分がその技術を覚えて社会にお返ししたい」
 人当たりの良い性格だが、表情には意思の強さがうかがえた。
 一日に受け付けるのは五~六人。一人に付き、四十分ほどの時間をかけ、全身のつぼを丁寧に圧迫、筋肉のはりをほぐしていく。
 「体に手を当てていると緊張がとけていくのがよく分かるんですよ。中には、いびきをかいて寝るお年寄りの方もいらっしゃいます」と平間さん。
 十一月二十七日のこの日、九十一歳の男性が最初の患者になった。指圧が始まると、表情が緩み、夢見ごこちのよう。
 「四、五日前、友人が亡くなったんですよ。九十でした。俳句をやっている人で百まで生きると言っていましたけど…」。精神的に楽になったのか、間もなく、老人の口から本音がポロポロと次いできた。
 平間さんは「おじいさんはいくつ?元気ですね」と聞き上手に徹する。物理療法だけでなく、心のケアーも大事な治療の一つだ。
 一九四五年、東京大空襲に遭って宮城県に疎開。中学を卒業すると上京して仕事に就いた。二十歳で工業高校に入学、大学に進学した。七一年、二十九歳のとき、技術移民としてブラジルに渡航。新潟ブラス(リオデジャネイロ)に入社。九カ月後にJICAリオ支所に転職した。九四年に一旦、退社、その後サンパウロ支所に入った。
 実は二十二歳のとき、椎間板ヘルニアを患い、渡伯後も持病に頭を痛めてきた。「荷物を持ったりするなどひょっとしたことで腰が痛くなる」からだ。マッサージは日常生活の一部に組み込まれていた。
 定年を数年後に控えたある日、指圧師の資格を取るため専門学校に通うことを決心する。「自分と同じ様な悩みを持っている人の役に立ちたい」。EOMAで二年間学び、〇二年三月に定年を迎えると同時に、ボランティアを志願した。
 評判は援協傘下のほかの施設にも伝わり、来年一月からスザノ・イッペランジャホームにも出向く。今年九月から自宅アパートの一室を診療所にして本格的な営業活動もスタート。時間的な制約が大きくなる。
 「仕事が忙しくなっても、日系社会に貢献できるよう精一杯がんばっていきたい」。