12月28日(火)
イグアスー日本人会副会長の福井一朗さんが伝えたところによると、去る十七日、パラグァイの首都アスンシオンにあるブラジル大使館の劇場(Teatro Tom Jobim)で、国連とパ国の関係者、ブラジル、アルゼンチン、ボリビア等の大使ら百五十名の出席者を前に、イグアスー移住地の「鼓太郎」グループによる和太鼓が演奏されて大喝采を受けた。「鼓太郎」は日本伝統芸能の一つである和太鼓を同移住地の子供たちに伝承することを夢みて、二〇〇二年六月に東京から移住してきた澤崎琢磨・雄幾兄弟(本紙・十月三十日報道)の厳しい指導を受けて技能を磨いた若者たちのグループだ。
会議は「多岐にわたるパラグァイの文化」をテーマに国連が主催したもの。この会議に先立ち、パ国政府と国連の合同調査団が、十月十二日にイグアスー移住地を訪問して、日本人会(栄田祐司会長)が運営する太鼓工房を視察して和太鼓に大きな関心を示した。
その直後に国連会議での特別公演の正式依頼が日本人会に届いた。依頼の理由は、移住者による文化継承の実例紹介、というものだった。会議の締めくくりとしての公演であったが、演奏に使用した和太鼓は会議の開会時から会場に展示されて、出席者の興味を喚起した。
公演の紹介を行った議長のヘンリー・ジャッケレン駐パ国連機関代表は「原料にパラグァイの木を使ってパラグァイ国民(日系移住者)が楽器(太鼓)を作りました。その楽器でパ国内外で広く演奏活動を行っていることは素晴らしいことです。これもパラグァイ文化の一つである、と言っても過言ではないでしょう」と述べた。
材料となった木材はカナフェートで、紛れもないパラグァイの樹木だ。「鼓太郎」を指導し、自らも和太鼓演奏を行った澤崎琢磨君は「パラグァイだけでなく、各国代表の皆さんからも高い評価を受けることができて光栄です。和太鼓が日本の文化として認められていることを実感しました。今回の演奏を通して、(イグアスー)移住地の若者たちの技術的なレベルアップも実感しました。本当に嬉しいです」と喜びを隠しきれないようす。
国連主催の会議という大舞台で和太鼓を演奏するのは初めての経験であった。移住地の若者たちの勇気は十分に賞賛される。