12月25日(土)
還暦を過ぎてから本格的に走り出し、フルマラソン四時間十分の記録を持つサンパウロ市のランナー、中谷迪子さん(2世、72)が、第十二回南米陸上マスターズ選手権大会(十一月五~十四日、ウルグアイ・モンテビデオ)初日に行なわれたクロスカントリー七十歳代の部に出場し大会新記録で優勝した。
丘を登り小川を越え、木々の間を縫ってゆく八キロのコースを四十八分で走破。二十二日来社した中谷さんは、「草の根を持って斜面を上ることもある過酷な競技ですが、体重が軽いわたしに有利」と語る。
マラソン、クロスカントリーのほか、競歩、五千メートル走といった種目が得意だ。世界各地の大会に出場し獲得したメダルは三百個以上。実績が認められ、大手スポーツ用品メーカーのミズノなどが選手活動をサポートする。
裁縫師として働いていた十五年くらい前までは歩行さえ困難だった。足腰が弱り、薬に頼る生活が続いた。そんな健康状態を危惧し、当時夫の豪さん(82)が体操指導にあたっていたイビラプエラ陸上会に顔を出すようになった。
マラソン初挑戦は四年前のニューヨークシティマラソン。四時間三十四分で完走。今年四月のパリ国際マラソンではその記録を一気に二十四分も縮めた。いまの目標は、七十歳代ランナーの世界記録とされる四時間八分だ。
選任の医者からマラソン大会への出場は年一回に制限されているが、「練習でも四十二キロではくたびれない。五十キロぐらいがちょうどいい感じ」。心臓と肺の機能は「若い人と変わらないといわれます。八十歳までは走りつづけたい」という。
サンパウロ州リンスのそば、グァイサーラ生まれ。「子供のころはコロコロに太っていた。走るより転んでいく方が早いとからかわれていたもの。人生とは分からないものですね」。