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「広島神楽」に強力助っ人=来年3月母県から指導員=公演や大学生との交流も

12月23日(木)

 【既報関連】ブラジル広島神楽保存会(細川晃央会長)に新たな助っ人登場――。メンバー減少と衣装の老朽化に悩む同会に、来年三月、母県から指導員が派遣される。津浪神楽団の尾坂秋三さん(76)、伊賀昭造さん(76)ら三人だ。細川会長が県庁国際交流室を通して、同神楽団団長でもある末田健治安芸太田町産業観光課長と連絡を取り合い実現した。同保存会には、安芸高田市の美土里神楽連合会(久保良雄会長)と高宮神楽連絡協議会(塚本近会長)から神楽の衣装が贈られることも決まっており、「なんとかして(ブラジルで)広島神楽を復活させたい」とする細川会長の熱意に、母県も全面的に協力するようだ。
 尾坂さんと細川会長は町立加計中学校の同級生。伊賀さんは一年後輩で、顔馴染み。ともに津浪神楽団の団長を務めた経験のあるベテランで、「鬼の舞、臣の舞、太鼓に笛、大蛇や姫舞など、なんでもできる」と細川会長も心強く感じている様子。
 国際交流基金の「日本文化紹介助成」制度を利用して、来年三月二日から一ヵ月半の来伯予定。国際交流基金としても、能、歌舞伎、狂言などの伝統芸能はこれまでに助成経験があるが、神楽だけはまだ手懸けておらず、積極的な協力姿勢を見せている。
 日程の大半を、ブラジル広島文化センターでの神楽舞指導にあてるが、合間を縫って各地で公演・実施指導も行なう。▼三月二十七日SESCヴィラ・マリアーナ会館▼四月二日日本ブラジル文化協会大講堂▼四月七日スザノ市文化協会(会場未定)▼四月十日カンピーナス文化協会(会場未定)で開催予定。各公演の休憩時間には、国際交流基金の提案で、カンピーナス大学演劇科の学生らによる狂言、ブラジル版「棒縛り」が演じられる。
 また、三月五日、六日にはパラグアイ移住地二ヵ所を訪れ、ビデオ放映、神楽太鼓・笛実施指導による普及活動を行なう。パラグアイ移住地とは、以前同国の広島県人をはじめ約四十人が、ブラジル広島県人会の老人ケア・サービスを視察するため来伯しており、交流が深い。 
 保存会には現在約四十人(うち女性八人)が所属。一月九日の新年会で、練習日程と配役を決定し、細川会長らの指導のもと、本格的な練習に入る。「八岐の大蛇」、「八幡」または「鐘馗」を、毎週日曜日にびっしり練習。指導員来伯中に手直しを受ける。