労働省が14日、全就労・失業者台帳(Caged)によると、10月の雇用は解雇者が新規採用を3万283人上回ったと発表したと15日付伯字紙が報じた。
10月は通常、ナタール(クリスマス)に向けて生産活動が向上する時期で、短期契約の雇用が増えるため、昨年は9万4900人の雇用増を見た10月に3万人余の雇用減となると予想した市場関係者は皆無だった。10月に雇用減となったのは、1999年の統計開始以来初めてだ。
労務大臣は激しい選挙戦とサンパウロ州の水危機が影響したというが、雇用主が投資や機械・機材の購入を控える動きは選挙の相当前から見られていた。資本財製造業などはこの4年間はかなり厳しい状態が続き、工業界を中心とした企業主の信頼感指数も低下が続いていた。
雇用が減った業界は、建設業3万3556人、農業1万9624人、製造業1万1849人など。製造業の雇用減は自動車や電気電化製品の販売不振や過剰在庫といった情報からも予測された事で、16日付フォーリャ紙によると、製造業界の10月の設備稼働率は、国際的な金融危機で景気が減速した2009年8月以来の82・0%という低率だ。落ち込みが特に目立つのは資本財の78・9%で、耐久消費財も83・3%、半耐久消費財も83・5%などと大きく低下した。
工業界の1~10月の累積雇用は3万4900人増だが、季節労働者の解雇が行われる年末時点の雇用は14万6千人減となる可能性がある。
生産ラインの停止や削減は輸送用資材や電気用資材、金属業界、服飾業界、製靴業界、食品業界などで起きており、4%の販売増を見込んでいた食品業界は9月には0・4%の減収。製靴業界の設備稼働率は70~75%で、90~95%となる例年比、年2億5千万足減産の見込みだ。
アルミ業界も設備稼働率が60%に落ち込み、年間95万トンの生産で終る見込み。昨年は130万トンを生産した。
自動車業界も厳しい状況が続き、ブラジルとアルゼンチンの2カ国の設備稼働率は55%。両国での生産台数は昨年比で280万台減る見込みだ。
市場関係者は、10月の雇用減少により第4四半期のGDP成長率は更に低下し、年間成長率も0%または限りなく0%に近くなると予測している。消費者も含めた信頼感指数が低下、工業などで雇用が減りサービス業や商業では雇用増という現状に、インフレ抑制は困難で、来年も解雇増と見る専門家もいる。
ジウマ大統領は成長志向を継続する意向だが、需要を絶やさない程度の公共支出削減も必至という状況下、これから指名される経済スタッフがどのような新経済政策を打ち出すかが注目される。