12月22日(水)
【エザーメ誌】〇四年のブラジルの輸出予想額は、九百五十億ドル位とみられる。まだ、米国の一カ月分の輸出にも達しない。二〇%のユーロ高で不利な立場にあるフランスでさえ、四千億ドルを対米輸出している。ブラジルは国家主権や独立国家を叫ぶより、実のある通商外交に専心するのが正解ではないか。
ブラジルは経済発展のために努力したが、国際的には貿易ランクを落とし、時間とチャンスをムダに費やした。ブラジルは効率が悪い。その結果として雇用創出、勤労所得、消費者の購買能力で国際競争の場から弾き出された。
残念だが、ブラジルの慣習は国際競争に向いていないようだ。労使の雇用関係、責任に対する考え方、仕事の進め方、仕事と生活の関係、仕事に対する価値観、使命感、全て不利。いつも複数の要因が絡み合い、解決が難しいのだ。
政治でいうなら問題が複数の省庁にまたがり、問題提起をしても結論に至るまで時間がかかり過ぎる。輸出のための官庁手続きが複雑でのろく、法令上の支障を除去するのにスローモーで腹が立ってくる。
外交努力で何らかの成果を得ると、政府はブラジル外交の勝利と大々的に称賛する。しかし、後が悪い。せっかくの外交成果を活用するための構造改革を行う段になると下手だ。ブラジルでは、すぐに規則が作られるが、それだけでは足りない。それと同時に、チャンスを生かす要因を整備することだ。
輸出業者は直ちに製品を港湾へ送るが、製品は港湾倉庫に船積みを待って三十五日も置き去りにされる。または、トラックに積まれたまま港湾前の道路脇に作られた百キロメートルに及ぶ行列を待つ。資金難の業者は、製品を輸送費の安い貨物列車を使って時速二キロメートルの早さで運ぶ。
先進国の補助金制度や関税外障壁に対し、ブラジルの企業は団結して立ち向かう程の意欲がない。輸出競争力の育成に真剣に取り組んでいる企業は少ない。輸出企業の国際事情に対する認識が低い。
政府や関係者は、障壁軽減や補助金削減の交渉を誤解しているようだ。国際交渉は国家を政治的、経済的、社会的に組織化し、総力戦によってチャンスを勝ち取るもの。例えばブラジルが世界最大のコーヒー生産国でありながら、コーヒーの国際相場を操作できない。これはコーヒー関係者の組織化不在の証拠だ。
ブラジルが肉や砂糖、大豆など各産品で世界最大の輸出国を目指すなら、先進国の補助金制度は恐れるに足らない。ブラジルの生産者と先進国の過保護生産者との差は、農業生産者の組織化と財政支援、技術指導で相殺できる。
また首を締めている問題として対外政策がある。政府は独立国家を旗印にする。これは、時代遅れの徒労で単純な考え方だ。対外政策が妥当か否かを測るのは、国民の生活向上につながるか否かだ。外交官らの外交努力云々ではない。
ブラジルは〇四年、ロシアや中国、韓国、カナダの首脳を迎えた。それぞれの国は目的を達したが、ブラジルはただのお祭り騒ぎで終わった。最も大きな外交課題は、対米外交で生産的関係が築けず足踏みをしていること。対米関係が円滑でないと、先進諸国との関係もスムースに行かない。
米国抜きの外交関係を保っている国は、現在稀だ。ドイツとフランスは外交で米国と一線を隔しながら、同盟関係を保っている。ブラジルがそれを真似るには、国力から築く必要がある。南米の雄を自負するのもよいが、南米と欧米との通商関係はどちらが有益か。