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害虫駆除用の微生物を培養=生態系にやさしく新ビジネスに

12月22日(水)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙五日】スイス人化学者ポウル・H・ミューラ氏によってDDT(ジクロロジフェニウトリクロエタニ)が発明された一九三九年、人類を悩ました害虫駆除の問題は解決されたと考えられた。同化学者はDDTの発明でノーベル賞を受賞した。
 ところがDDTの使用により害虫は免疫を増し、さらに強度の農薬を必要とした。また益虫は急減した。河川は残留農薬で汚染された。DDTは利よりも害が多いことがその後判明した。
 科学者は六〇年代以降、害虫を自然に駆除する方法を模索し始めた。生物を使った害虫駆除の研究は、ブラジルでは遅れてきた。サンパウロ大学(USP)農学部のパーラ教授は、生物を使った害虫駆除は生態系の研究から始める必要があると話す。DDTは生態系を破壊した。同教授は現在、害虫駆除を使命とする二千種の微生物を給餌システムにより培養している。
 サンパウロ州立大学(UNESP)でもバクテリア、ウイルス、かびなどによる害虫駆除研究を行っている。同大学は害虫七十種に対し、百二十五種以上の生物を培養している。同生物は年間十億ドルの市場だ。
 国内では五社と研究所十カ所が、微生物の販売を行っている。マセイオで八七年に創立したビオテック社は、リベイロン・プレットにも営業所を設け、中南米全域にサトウキビの害虫を駆除するカビを販売している。同社は、同カビを月に七十トン生産する。
 セルトンジーニョのビオコントロール社は七四年、中米から侵入したさとうきびの害虫を駆除する益虫を販売した。ピラシカーバのブッグ社はトマトやトウモロコシを荒らすイモムシを駆除する昆虫を飼育する。一方、中国では害虫駆除に蟻が大昔から使われていた。十九世紀に米国の化学者が蟻を柑橘類の病気に使い効果を得た。それ以後昆虫や微生物が見直されている。