日本で大手広告代理店が「好きな料理」調査をしたところ、十二年間、人気不動の一位は寿司だったという。常に四〇%台だからすごい。おかずとご飯が一体で多忙な時代には手軽―これが理由▼ちなみに二位は焼き肉。刺し身人気はジリ貧で、カレーライスに追い上げられているそうだ。ブラジルで日本人と日系を含むブラジル人を対象に「好きな日本料理」を調べたら、やはり、寿司が一位になるのではないか、と想像した▼というのは、東洋街の食品・雑貨?店で、もっとも人だかりしているのは、弁当売り場だからだ。その中でも寿司が注目の的。非日系人は焼き魚などが入っている弁当にはさほど関心を示さないが、寿司は別格とみえる▼サンパウロ市内の老人クラブなどの集会で、軽食を頼もうという話になると、第一候補はなんといっても寿司。老人クラブのメンバーは、今、一世、準二世、二世で、ブラジル暮らしが総じて五十年以上。そんなに長くても、寿司でなくてはならないのだ▼さて、東洋街の商店で販売されている寿司(特に巻き寿司)の品質は、ピンからキリまである。値段幅も広く最高値のものは最安値の二倍余だ。安いのは、寿司めしが水気過多であったり、酢・塩・砂糖がアンバランス、さらに具が貧弱とくる。よくしたもので、それでも需要がある。安いから味は二の次で買い手がつく▼いつも思う。「日本人が食べて美味しいのを、ブラジル人たちに、これが寿司なんだよ、と教えてあげたい」と。 (神)
04/12/22