12月18日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十七日】アモリン外相は十六日、アルゼンチン政府がセーフガード(緊急輸入制限)実施に踏み切った場合、ウルグアイとパラグアイ両政府の協力を基に対亜同盟を結ぶと述べた。ベロ・オリゾンテで開催されたメルコスル代表者会議の席上では同件に触れなかったが、隣国の両政府代表はセーフガードに反対の意を表した。代表者会議は十六日に終了し、メルコスル十周年式典のためオウロ・プレットヘ舞台は移る。
亜政府が提案したセーフガードに対し、ウルグアイ代表はメルコスルの後退と発言、パラグアイ代表も共同市場の弱体化と経済的不利益を招くと各々の声明を発表したことで、ブラジルのみが反対ではないことが明らかになった。
政府はセーフガード案を保留にし、一月の伯亜会談までその件には触れずに、ほとぼりを冷ますことにした。代案として、メルコスル共通の産業政策と金融政策の導入を進言する。
九四年に開催され、メルコスルを発足したオウロ・プレット会議で、メルコスル体制の強化優先とセーフガード廃止はすでに確認済みだった。ウルグアイのバトレ大統領は同じ内容の反復を避けることを提言し、メルコスル域内の格差是正を、洗いざらい協議しようと進言した。
チアラジア亜通産相は、セーフガードは一時的措置で、亜国産業の体制強化を図るのが目的だという。域内で単独の逆行コースを採る考えはないと説明した。ブラジル代表は、セーフガードが外資導入へ逆効果になると亜国代表へ忠告した。
十七日にオウロ・プレットでは、さらにボリビア、チリ、ペルーなどの代表を招き、経済開発協力機構(OECD)の外資導入基準について協議が行われる。他にエクアドルやコロンビア、べネズエラ、インド、南アフリカ、ボツワナ、レソト、ナミビア、スワジランドなども招待した。
ルーラ大統領はメルコスル十周年記念式典で、域内の不協和音を吹き飛ばす考えのようだ。大統領は昨夜、死去した弟の葬儀からオウロ・プレットへ直行した。メルコスルとの自由貿易市場交渉が数多あり、域内の体制強化が緊急課題となっていると述べた。
大統領はEUに対抗して、メルコスル議会の〇六年までの設置を提案する。また経済支援基金を設立し、パラグアイやウルグアイが産業界の構造改革と殖産に役立てることも提案する。
一方OECDはメルコスルの十周年に寄せて、加盟国の結束強化とともに国際競争力の強化を進言した。持続可能な経済成長のために、国際競争力を育てる法整備を急ぐよう進めた。
ブラジルとアルゼンチンは、競争力の強化がお留守になっており、油断すると輸入が輸出を超過するとOECDはいう。両国は過去に長期間、為替固定性を採用した。それで産業部門と金融部門の重点設定を間違え、インフラ整備をなおざりにした。そのため産業基盤を失ったと警告した。折角導入した外資は製造部門に投下されたが、インフラ整備にまでは回らなかったとみている。