12月17日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙十六日】通過政策政策委員会(COPON)の決定を受けて中央銀行は十五日、基本金利(SELIC)を一七・七五%に引き上げた。引き上げはこれで四カ月連続となり、前回より〇・五ポイント高くなった。
今回の決定に対し、工業界と商業界は悲鳴に近い強い不満を表わした。金融アナリストらは、前回までの引き上げは年初から一応予測されていたが、今回については疑問が残るとの見方を示している。また国会でも野党議員はもとより与党議員に至るまで反発を表明し、金融政策を見直す動きが出ている。ルーラ大統領はパロッシ財務相を軸とする中銀の政策への完全な支持を表明した矢先だけに、これらの不満にどう対処するか注目されている。
SELICは今年四月から八月まで一六%で据え置かれたが、九月に一六・二五%へ、十月は一六・七五%、十一月は一七・二五%となり、さらに今回一七・七五%へ引き上げられた。これは昨年十月以来の高水準。これに対し、金融アナリストらは口を揃えて、必要性を伴わない引き上げだと決めつけている。
中銀は、経済の高度成長の余波であるインフレ上昇を抑制するため(来年のインフレ目標五・一%あるいはそれ以下を達成するために)、過去三回のSELIC引き上げを行った。これは景気が好況のうちに前倒しで金利引き上げを行う点で当を射ていたし、予想された範囲だという。
しかし、インフレ要因とされた国際原油価格が一段落の様相を見せていることと(ニューヨーク市場四十四ドル一九セント、ロンドン市場四十二ドル二二セント・十五日現在)、ドル安(二・七五レアル)傾向を加味すると、今回の中銀の決定は行き過ぎと評価されている。これにより少なくとも来年上半期での金利調整はないだろうとの見方も強まっている。
工業界や商業界は年末、少なくともナタル(クリスマス)商戦までは現在の販売方針を変えることはないとしているが、それ以後は内需の落ち込みは避けられないとみている。商業界ではせっかくの購買力増加に水を指すものだと批判している。工業界では内需の落ち込みと金利高による設備投資計画の見直しが必要とみている。
いっぽう、今回の金利引き上げは国会議員の間にも衝撃を与え、野党議員はもとより与党内でも批判が噴出した。与党上院リーダーのメルカダンテ上議は、ルーラ大統領が政策の旗頭としている経済成長と雇用増加に真っ向から反対する誤った金融政策だと切り捨てた。