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感動与える教育を=日本語センター竣工=日系200家族の夢実現=インダイアツーバ

12月16日(木)

 「二百家族そこそこの会員の日本人会としては、途方もない計画であり、希望のある楽しい夢でもありました。ロマンがきょうこの様な形で完成致しました――」。インダイアツーバ市の日伯文化体育協会(安部誠会長)が市の協力を得て建設を進めてきた日本語学校新校舎がこのたび、協会所有の総合運動場内に完成。十二日の落成式に集まった三百人近い関係者を前にあいさつした建設委員会の松元軍司委員長(67)は計画から完成までに要した六年以上の歳月を振り返り、感慨を込めて語った。同学校は今後八年間、市立の保育園としても使われることになる。

 この新校舎は地元日系社会に貢献した故・高原美与治氏の功績を顕彰し、タカハラ・ミョウジ教育センターと呼ばれることが決まった。高原氏は一九〇七年福島生まれ。二八年に来伯し、同市に入ったのは四七年。以来、日本人会の設立や会館の建設、子弟の日本語教育に尽力。ヤンマー農機の工場を誘致するなお、市の発展にも努めた。名誉市民権のほか、サンパウロ州のカブラル賞、日本政府の旭日単光章を授与されている。
 現在、日本語学校の生徒は約八十人。保育園には百二十名の児童の入園を予定し、どちらも来年二月から新校舎が使用される。運営委員長には新国良二氏が就任した。
 「子どもたちが日本語を学びながらのびのびと遊べる環境作りを趣旨に、文協所有の総合運動場に日本語学校の建設を」(松元委員長)と、計画が理事会決定したのは一九九八年八月、松元委員長が文協会長の時だった。
 会員や地元に工場のあるトヨタ自動車などの企業から協力金を募り、工事が始まったのが〇二年の四月。資金が底を尽き工事を一時中断していた時期もあったが、昨年十二月、同市に保育園が不足していることもあり、レイナウド・ノゲイラ市長が計画への協力を申し出た。二階建て新校舎の一階部分を、八年間保育園として市に貸し出すことを条件に、市が総工費六十九万レアルのうち、約三十四万レアルを負担することが今年六月に決まった。
「当初の計画より六、七年早く竣工できる事になりました。会長を先頭に一丸となって交渉に当たった会員の努力の賜物であります」と松元委員長。
 生長の家による地鎮祭の後に行われた記念式典には、ノゲイラ市長や市の教育関係者も列席、サンパウロ総領事館の丸橋次郎首席領事、JICAサンパウロ支所の石橋隆介次長も駆けつけた。
 安倍会長は「現在の文協の前進である日本人会は子弟への日本語教育のために一九四七年に設立されました」と、日本語教育の歩みを振り返り、同センターが日本語教育のさらなる発展につながるようにとの願いを込め、完成を祝った。
 石橋次長は「子ども達に感動を与える学校になって欲しい」とエールを送った。
 式典後、同センターのコーディネーター向井エリーザさん(二世、40)は「折り紙教室を開くなど、保育園とも一緒に何かやっていきたい」と語り、「将来は日本語教育も行う普通のブラジル学校にしていきたい」と大きな目標も付け加えた。