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PMDB連立解消に動く=党執行部ゴリ押し=離脱派と継続派で党内不和=PT、党大会の成り行き注視

12月10日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙九日】ブラジル民主運動党(PMDB)執行部は八日、同党から入閣した通信相と社会保障相を始め、全議員が役職辞任の可否を十日までに決めるよう通告した。決断に至らない場合は十二日、党大会を召集し連立離脱を討議するとした。両相と上下両院の連立与党議員連盟は執行部の決定を無視、党大会の開催阻止の構えでいる。党執行部会は机を叩く音と怒号が飛び交い、テメル党首は事態収拾に苦戦した。

 PMDBは上院で二十二議席、下院で七十六議席を抱える大所帯であるが、群雄割拠し求心力に欠けるようだ。波乱の党執行部会は八日、PMDB所属の全議員が連立与党の役職から辞任することを協議した。表決したところ、賛否両論が拮抗した。
 PMDB党執行部の意向は党規を逸脱し権限を乱用したものと、多くの議員が批判した。連立継続について党首が表決を採ったところ、八対八で引き分けた。決議を採るため党首の特権で、連立離脱を決定した。連立継続派は決議を非難し、場合によっては司法対決も辞さないという。
 PTはPMDBを票数稼ぎのため利用するだけで、政策判断を求める声が一切かからないと不満を訴える離脱組と、甘い汁に預かる継続組とが党内にくすぶっていた。党執行部とPMDB議員連盟の対決は、党を割った離婚話ともいえそうだ。
 PMDBは連立関係により、通信相と社会保障相、郵政長官、社会保障院総裁、通信省次官、石油局長官、電気エネルギー局長官などの役職を得ていた。十日までに辞任の可否を決めろといわれても、役職はお茶汲みではないという。
 クエルシアサンパウロ州支部長は、役職返上に反対した。役職返上の場合、芋づる式に省庁管理職へ就任した一蓮托生の党員は、下野を余儀なくされる。浪人生活のやる瀬なさは、お互い身に詰まるものだと述べた。
 PMDB党首は、ジョアン・エンリッケ郵政長官の媒酌人。郵政長官の職権は、通信相のそれより余禄の多いPMDBの戦略的拠点とみられている。それをポイ捨てはできないと、実益を取る議員が多い。
 役職を返上すれば、PTか連立の他党へお鉢が回る。後任が就任すると政府は、野党となったPMDBを封じ込める作戦に専念する。連立離脱は第二案とし、連立継続を当面優先すべきとという意見が多い。PMDB執行部の意向は、党員の意見と異なるようだ。
 与党PTはPMDBの三人目の閣僚を検討していたが、白紙に戻った。クスコ滞在中のルーラ大統領は、レベロ国対委員長にPMDBへのアメとムチを指令した。政府は目下、誰がPMDBの代表なのか観察中。いつ連立号バスから飛び降りるか分からない党は、頼りなくて心配だという。
 政府は、十二日開催予定のPMDB党大会の成り行きを見守っている。カリェイロ上議(PMDB)は、上院議長への政府推薦を引き換えに、党大会を失敗させることで奔走している。大統領は連立与党PMDBの忠誠心が確認できるまで、PMDBの注文には一切応じないとしている。