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中絶禁止条項の改正検討=政府、作業部会を設置=国民の間で議論を高めたい

12月10日(金)

 【フォーリャ・デ・サンパウロ紙十日】連邦政府は八日、原則として中絶を禁じた刑法の条項改正を議論するための作業部会を来年一月に設けることを決定した。政府と民間団体の代表者からなる同部会は、同条項の改正を議会へ要請するとみられる。
 中絶の法的再検証は、政府が八日に発表した「女性政策全国計画」の中で優先事項とみなされている。女性政策特別局によると、作業部会の設置は「国民の間で議論を高める」ことを目的としている。
 中絶に対する罰則は、一九四〇年に制定された刑法の第百二十四条から百二十八条までに規定されている。妊婦の生命に危険が及ぶ場合と強姦による妊娠の場合を除いて中絶は違法とみなされ、中絶を行った女性は一年以上三年未満、手術を行った医師らは一年以上四年未満(女性が死亡したり重傷を負った場合はさらに加算)の刑罰が科せられる。しかし、実刑を受けることは少なく、被告の女性は執行猶予で終わるケースが多いという。
 昨年、公的医療機関である統一保健システム(SUS)では、千八百八十八件の合法中絶手術が実施され、手術費は二十三万千四百レアルに上った。この件数は二〇〇二年のほぼ二倍。また、違法中絶手術後に行われた再診療は、二十三万六千三百六十五件となった。
 中絶問題は社会的議論を巻き起こしてきた。カトリック教会は中絶に全面的に反対の立場で、最近も脳がない胎児の妊娠中絶を認めた連邦最高裁の仮処分を撤回させるために抗議行動を起こした。女性のための国連開発基金(Unifem)ブラジル・南半球支部のファルー支部長は八日、女性の威厳、自由、健康を得る権利はブラジルが署名した国際条約で認められており、連邦最高裁の判断を支持すると表明した。
 政府は中絶を再検討する一方、無料で避妊方法の情報を提供するなど、家族計画推進のための政策実施を検討しており、中絶後の処置を含む女性への診療体制を整備する考えだ。