12月8日(水)
去る五日、コチア農業学校で行われた「第三回メロン祭り」は、晴天にも恵まれて多くの参加者で賑わった。南米大陸の最東端に近いリオ・グランデ・ド・ノルテ州から来たという伊藤範夫さん(愛知県出身)は「ナタールには日本人が少ないが、ブラジル人の友達が沢山いるので、メロンを通して日本を味わってもらうつもりだ」と両手いっぱいにメロンを買い込み「このような行事を通して南米諸国の研修生たちの勇気づけになって欲しいね」と期待を表明していた。
コチア農学校は、サンパウロ市から北東に約八十キロ、ジャカレイ市にある旧ジャミック施設としても知られている。会場となった学校の広場には、日本種のロック・スターなどのネット・メロンを中心に、農協婦人部の手づくりによる味噌やその他の食材、寿司や笹巻き弁当、〃小農家の会〃(関連記事、本紙十月二十二日報道)の新鮮な野菜なども並んだ。
学校の近所で観葉植物を手掛けているベテランの玉腰範義さん(コチア青年・愛知県)が調理した、研修生たちが栽培した無農薬野菜と彼らが育てた鶏の新鮮な肉を素材とした特製ヤキソバのにおいが、会場をただよい参加者の食欲を誘った。
早い時間に売り切れたのはいうまでもない。研修生たちが作ったペルー、ボリビア、パラグァイ、ブラジル北東地方の伝統食を楽しむ参加者や、研修生たちの案内で、実習畑や育苗センターなどを熱心に参観する人々も多かった。
「メロン祭りに来るのは二度目だけれど、とても楽しかった。新鮮なきゅうりも買った。また来るよ」と群馬県人会の大矢みどりさんが言えば、その脇で、理容師の林由里子さん(長崎県)が「私は初めてだけど、学校の敷地内がきれいに手入れされているのに感心したワ」と、研修生たちの規律正しい日常生活を評価していた。
サンパウロ市内の東洋街の一角でメガネ店を経営している八十二歳の根本三郎さん(茨城県)は「今日は最高だネ!来た甲夷があった」とご満悦のようすだった。
メロンは一個五、六、七レアル、と大きさにより指導員の佐々木エジガルドさんが値づけをしたもの。参加者は競って買い求めたが、最初に七レアルのメロンが売れ、次に五レアル、そして、六レアルのメロンが最後まで残った。
販売の前後に日本種二種類とパラグァイ国イグアスー移住地産のルーナ・イグアスー種のメロンが研修生たちによって試食として参加者全員に振る舞われた。文字どおり、会場でもメロンを堪能する縁日となった。
「次はいつ?次もあるの?」という参加者の問いに応えるかのように「さあ、次の準備を始めよう」と佐々木さんが研修生たちに呼びかける声が響いていた。