サンパウロ近郊の小さな町で行なわれた日本の新興宗教の、拝殿落成式に参加した。御簾を巻き上げた舞台の上で、琴の調べに合わせ、公家の衣裳をまとって、厳かに行なわれる行事は、タイムスリップしたような錯覚を憶える。
また古式豊かに艶やかな着物姿で『八雲琴』、糊の利いた裃を着込んで笛、鼓や地謡に合わせて舞囃子『西王母』が奉納された。
まだ若い教主は、いつも控えめな微笑みを浮かべているが、背筋は常に伸びており、若い頃の皇后さまのようであり、たいへん凛々しい。
参加する前は、新興宗教にたいする拒絶反応を持っていた。しかし久しぶりに、琴の音、地謡や能の舞などを存分に鑑賞し、日本文化の奥深さを再確認できた有意義な一日であった。 (総)
04/12/7