ブラジル国内ニュース(アーカイブ)

ヴァリグついに身売りへ=開発銀、融資を拒否=ヴァスピに続き空の花形落ちる

12月4日(土)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙三日】社会経済開発銀行(BNDES)は二日、莫大な債務を抱え経営に行き詰っているヴァリグ・ブラジル航空を支援するための融資は一切行わないとの決定を下した。ただし同航空を買収する先には話し合いに応じて融資を行うとの態度を明らかにした。
 これにより、同銀行に活路を模策し続けてきた同航空は自力再建の道が事実上絶たれ、会社売却という終焉の道を歩むことになる。とくに日伯間は花形路線として多くの乗客を運び馴染みが深いことから、日本人、日系人には悲しい終末と受け止められている。
 同航空は累積赤字が十八億ドルを超え、同行の融資を通じた政府支援を申請していたが、統一地方選挙や同行総裁更迭劇が重なり、結論が先送りとなっていた。こうした事態を受けてマンテガ新総裁は二日、融資拒否の決断を下した。
 同総裁によると、「BNDESは企業という病人を治す病院ではない」とし、同航空に対しては「一銭たりとも出さない」と言明した。しかし買収先には融資する用意があるとして、事実上同航空に引導を渡した形となった。額については言及を避けた。
 いっぽうでアレンカール副大統領(国防相兼任)は労組との話し合いで、同航空を二つの会社に分け、一社は債務整理とし、もう一社は営業を継続することを提案し、後者を売却して、同行の融資と共に債務を消却するのが妥当との考えを示した。とりあえず一万一千五百人の従業員の退職に伴う出費などで、同行から十億レアルから十五億レアルを借りることになるだろうとの見解を述べた。
 これまでに国内航空会社のTAMおよびGOLが買収に乗り出したが、ヴァリグの株式八七%を保有するルーベン・ベルタ財団との間で株式譲渡率をめぐり折り合いがつかず、物別れに終わっている。同財団が引き続き一五%の保有を主張したのに対し、買収側は五%に固執したという。同財団幹部は「成り上りの競争相手の言いなりになるのは恥だ」と感情論を吐露している。このほか、ポルトガルの観光会社やアメリカの投資会社が買収に興味を示しているという。
 いっぽうで、経営が破綻し営業活動を停止しているヴァスピ航空に対し、CBS商工(株)は四万七千レアルの支払い不履行で訴えた。これで訴えは四件目となった。かつての「空の花形」ヴァリグとヴァスピが地に落ちた一幕となった。

こちらの記事もどうぞ

Back to top button