12月3日(金)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二日】アモリン外相は一日、ブラジルの国連安保理常任理事国入りを含む安保理改革案がアナン事務総長に提出されることを明らかにした。改革案はブラジルや日本など十六カ国代表によって作成された。具体的内容について参加国全体の合意には至らず、拒否権にも触れていない。ブラジルの常任理事国入りは、拒否権の有無によって差別されることなく、世界の平和と自由主義の発展へ向けたものであることを外相は示した。
改革案は、十六カ国の国連大使によって作成された。常任理事国を六カ国に増やすか、非常任理事国を四年任期持ち回りの八カ国とするかの二案がある。常任と非常任を合わせ合計で、理事国を十五カ国から二十四カ国に増やす案だ。五カ国の既得拒否権は継続し、新規参加の新常任理事国と同等扱いはされない。
十六カ国の代表会議では、ブラジルは不満であったが拒否権に関する合意を得られなかった。昨日加入した新会員が、創立会員と同等扱いされるはずがないという意見であった。
十六カ国の中には、五カ国の太鼓を持つ国もある。厳密には代表らとは言い難いが、国連総長から招かれた経緯がある。同代表は会議の結束を乱すこともあり得ると、ソアレス・ブラジル国連大使はみている。
常任理事国の六カ国目追加を提案したのは、コソヴォへ派遣され国連軍総司令官を務めたナムビアル・インド代表だった。インドやブラジル、日本、ドイツとアフリカ代表のいずれか一カ国が常任理入りするという案だ。しかし、日本とエジプトが難色を示した。
同会議で核開発に意欲を持つ国は、国連改革から辞退するよう提案があった。ブラジルは同提案に強く反対し、同条項を除く総論で合意した。核開発で核兵器と核の平和利用を混同した同条項は、核燃料市場を現在押さえている六社に独占させようとする意図がみえるとブラジルは非難した。
ブラジル代表は他国への武力介入について国連安保理が承認した場合のみを認め、事実上単独の武力介入に釘を差した。既に武力介入が行われた地域の復興は、武力介入で犠牲を払った国の独占や優先を認めない。復興をめぐる既得権の主張を退け、国連主導の復興委員会の采配で復興を行う。復興支援部隊による既得権の縄張り争いの排除も提案した。
復興のための資金は紛争地域のみに限らず、アフリカ諸国など国造りが組織化されていない地域への支援にも適用されることなどをブラジルが提案した。その他、国連分担金の最大供出国日本とドイツの敵国条項削除や国連事務総長の役割分担も指摘された。
常任理事国の追加案は、これまで「パンドラの箱」とされた。国際治安の維持費が年々増え、日本やドイツなどの経済大国が国連を経済的に支援してきた。経済力のない国々は、国連から軽視される傾向があった。国連が先進国の都合で運営されることに、途上国の不満が累積していた。分担金の支払い能力がない国々の常任理事国入りは問題視され、ブラジルは長い水面下の戦いを余儀なくされてきた。