12月1日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙三十日】集中豪雨の爪跡で、市当局は被害の原因解明と対策に追われているが、肝心のマルタ市長が二十六日から欠勤届を出して、フランスのパリに旅立ったことが明らかになった。
このため市幹部は明確なコメントも出せず、具体的対策にも着手できず、困惑を隠せないでいる。市長の側近筋によると、市長は休暇明けで戻ってきても、最後の仕事は市長の引継ぎを残すのみと言明したとのことで、残り一カ月の職務に打ち込む姿勢はみられないという。これに対し市長が所属する与党の労働者党(PT)幹部は党の信用にかかわるとし、「立つ鳥あとを濁さず」を実行すべきだとの見解を表明している。
市内各所に被害をもたらした二十七日の集中豪雨は、二十八日も続いたが雨量が少なく新しい被害は出なかった。さらに二十九日になっても曇り空が広がり市民に不安を与えた。このためマイカー出勤が急増し、市内は渋滞に陥った。ピーク時の午前九時には百二十四キロを記録、今年二番目の渋滞となった。
今年の最高は四日の百九十一キロで、やはり降雨が原因だった。とくにノーヴェ・デ・ジューリョ通りは二十七日に舗装がはがれて穴だらけとなり、通行は片側車線のみとなったため、運転手は月曜日の通勤途上で一週間分のストレスを溜める破目となった。
レボウサス通りの地下道トンネルは、歩道工事用の砂や土砂が排水溝に流れ込んで詰まったとの見方が強く、現場検証中の市当局技師は設計ミスによる市の責任は逃れられないとの見方を強めている。セーラ次期市長はこれに対し、「水は高い所から低い所に流れることを忘れていたようだ」と皮肉り、現政権が責任をもって改修すべきだと念を押した。
一方でマルタ市長は二十六日、夫と共にパリに旅立っており、サンパウロ市の状況を知ってか知らずか、これまで何の連絡もないという。市長は十日間の欠勤となる。この間の給与は支払われない。市長の欠勤は、十日の市長決選投票の選挙運動に専念するために取った十四日間以来、二度目となる。