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サンパウロ市=殺人件数、5%減少=実を結んだ銃器追放運動=衝動殺人が素手のケンカに

11月30日(火)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十八日】一般市民の銃器携帯を追放することを狙いとした銃器不法所持関連法案が制定されてから、サンパウロ州での殺人件数が平均五%、百三十件あまり減少した。
 これはサンパウロ州保安局分析企画本部が分析調査した結果明らかにした。この調査は二〇〇〇年から〇三年までに発生した殺人事件を広範囲に分析し、市民の銃器所持が原因となったものを位置付けて〇四年の予想を割り出した。また、今年九月までに発生した殺人事件を同じ要領で分析して比較したもの。
 その結果、本年は殺人事件が例年と比べ百二十二件から百三十七件減少した。とくに追放キャンペーンが本格化した八月のみで六十二件から六十六件の減少をみた。法令化される以前の一九九七年からサンパウロ州では銃器追放を呼びかけてきており、一九九九年から除々に殺人は減少傾向にあったが、本年は昨年同期比で二〇%減ったことも明らかになった。同様の方法で窃盗や強盗も分析比較したところ、〇・一%から〇・六%のマイナスとなった。
 これについてサンパウロ州保安局のサウロ長官は、窃盗は景気に左右されて増減するのと、泥棒稼業が根付いているため各自が用心する以外決め手となる防犯対策はないが、殺人は銃器がないことで防止ができると法令の効果を強調している。
 本職が裁判所の判事である同長官は、裁判の事例を踏まえると、犯罪組織の殺人とは違い、一般市民の殺人は衝動的なものがほとんどだと話す。バールで酔った上でのケンカによるもの、隣り近所での口論の挙句によるもの、運転をめぐるトラブルなどで、銃器がなければ大事に至らないものばかりという。それを裏付けるように、素手などによるケンカの負傷者は昨年二万五千四百人だったが、今年は九月までですでに二万六千人を超えている。銃器がないので素手や格闘で終わるという。
 銃器不法所持関連法案は昨年十二月に施行された。銃器の所持を規制するとともに、不法所持者は逮捕され、理由の如何を問わず保釈が認められず初犯でも(通常での軽犯罪は初犯だと保釈金で釈放される)禁固刑に服す厳しい措置となった。市民が当局に銃器を供出すると補償金が支払われる。
 今年に入りサンパウロ市では、第1・四半期では七百丁、第2・四半期は一千五百五十三丁、第3・四半期は一千九百九十六丁が供出された。これにより銃器所有は二四%減少したことになる。サンパウロ州では十一月のみで(二十四日現在)五万二千丁を超え、これまで二〇〇〇年から本年九月までの四十八カ月の合計四万九千三百二十二丁をはるかに上回った。