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公邸で叙勲伝達式=武本、生田両氏に=聖総領事館管内

11月30日(火)

 平成十六年秋の叙勲伝達式が二十六日午後、サンパウロ総領事公邸(石田仁宏総領事)であった。邦人叙勲者の武本泰二さん(76)に旭日双光章、外国人叙勲者の生田弘さん(75、2世)には旭日小綬章が総領事から授与された。
 武本さんは東京理科大数学科を卒業。南米で天体研究機関の勤務先を探すために五六年、妻を残して単身ブラジルに移住した。が、『霧のサンパウロ』では天体観測関係の仕事は見つからず、フォード社に入社。十五年間の勤務後の七三年、サント・アンドレ市に溶接材製造のブラスタック社を設立し、現在に至る。
 「私は当たり前の事を、当たり前のようにやってきた凡人。勲章は、私の家族や友人に与えられたと思っている。あえて言えば、百人近くの従業員がいるブラスタック社には、多くの溶接工が南米一の難しい溶接技術を身に付けてがんばっている。技術移転や雇用創出などで微力ながらブラジルに協力していると思う」と武本さん。
 移住後すぐに地元のABC文協の活動に参加し、後年理事長として同協会の発展に寄与したことも評価された。また八一年には群馬県高崎市との姉妹都市提携に力を発揮、今日まで多岐にわたる分野で人的交流を続けている。
 一方、生田さんは二九年、サンパウロ市近郊のモジ市生まれた。USP農学部卒業後、モジ市の同大学蔬菜実験農場でキャベツやカリフラワーなどの品種改良に従事し、六一年から同農場長を九五年まで務めた。
 その間、品種改良した種子を地元の農家に提供し、同市を大都市近郊型集約多角農業地域への基礎を築くなど貢献。傍ら、同市文協副理事長やブラジル日本文化協会評議員として、日本文化の普及や邦人会員の親睦・団結に尽くした。
 「六四年にJICAのコロンブス・プラン二期生として、横浜の蔬菜研究所で七ヵ月間、品種改良を研修した。以来四十年間カリフラワーなどを研究一筋でやってきた。今回の叙勲は、今まで支えてくれた家族や友達に与えられたもの。今後は、退官後から続けている海岸山脈原産の蘭、オンシジウムの品種改良に少しでも役立ちたい」と決意を新たにした。