11月27日(土)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十六日】ペトロブラス(石油公団)は二十五日、ガソリンと軽油価格の値上げを二十六日から実施すると発表した。今回の値上げは今年に入り三回目。
ガソリンは四・二%、軽油は八%の値上げで、これは精油所渡しの価格。これに卸し売り業界および店頭のマージンが加算され、さらにICMS(商品サービス流通税)などの諸税をもとに店頭価格が決定される。
全国燃料卸し売り連盟の試算によると、今回の値上げで平均店頭価格はガソリンで二・五%、軽油で六・五%の値上げになるという。さらにガソリンの場合、アルコール混入が二五%の上限で許可されているが、アルコールが先週値上げされたことで、ガソリン価格に与えるインパクトが〇・八%になると見られている。
従来、ペトロブラスは精油所渡しの価格値上げに伴い、予想店頭価格を発表してきたが、同連盟や小売り業界から、末端価格までの内政干渉と独占支配の圧力だと反発を喰らったことから、今回は沈黙を守った。
業界アナリストらは一様に、今回の「時期外れ」の値上げを、驚きをもって迎えた。ガソリン価格は国際原油価格と外国為替相場の動向で左右される。原油価格は世界的な高騰となった十月の価格上昇から一段落して落ち着きを取り戻し、九月時点での平均価格に戻っている。逆に外為市場では、二〇〇二年六月以来のドル安が続いている。この二点の要素からみて値上げは逆行しており、「時期外れ」と言わざるを得ない。
しかし評価する向きもある。一部のアナリストは、今回の値上げでガソリン価格は国際的水準の上限に達したとして、向う数カ月間は値上げの必要がなくなったとの見方を示している。これにより中銀が危惧している来年のインフレ上昇の材料となるガソリン値上げを、今の内に先取りしておこうとする政策だ。ジウマ・鉱山動力相も同一見解を発表し、ブラジルは孤島での独裁政権ではなく、国際水準に呼応して価格政策を執っており、ペトロブラスの方針は妥当と強調した。
中銀とペトロブラスはこれまで、価格政策について真っ向から衝突してきた。中銀はペトロブラスのガソリン値上げの度に、インフレを加味していないと苦言を呈し、予め中銀の許可を取るべきと主張したのに対し、ペトロブラスは内政干渉だとはねつけてきた。しかし今回の調整ではペトロブラスが一歩譲歩し、中銀が目標とする来年のインフレ率五・一%達成に寄与すべく値上げを前倒したとの見方が強い。