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ミス刑務所コンテスト開催=犯罪者の面影消える=毎年恒例の行事となるか=サンパウロ州

11月26日(金)

 【エスタード・デ・サンパウロ紙二十五日】世界でもユニークな「ミス刑務所コンテスト」が二十四日、サンパウロ州ブタンタン刑務所で開かれた。この日はサンパウロ州内の各刑務所で予選を勝ち抜いてきた十人により決戦が行われた。
 どの状況に置かれても女性の美への執念を見せつけるように、十人はビキニ姿やロングドレスに身を包み、さながらトップモデルの如く笑顔をふりまきながら競艶した。その振舞いからは過去の犯罪者の顔はうかがえなかった。中には生まれて始めてロングドレスを着て超ハイヒールや厚化粧をしたミス候補もいて、攻めて美的感覚に酔いしれたものも。
 ミスコンはサンパウロ州内刑務所の女性服役者を対象としたもので、規律違反をして処罰待遇となっている受刑者以外は誰でも応募資格が与えられた。美や容姿を争うほか、体験談を綴った散文、詩、シンパチアの三部門で競われた。これにはサンパウロ州内の受刑者三千六百十人の中から四百三人の応募があり、各刑務所で予選が行われた。
 決戦では候補者は予め所在の刑務所の房内で、化粧やマニキュア、整髪をして会場に向かった。これには刑務所が一丸となって「我が代表」を送り出した。水着やハイヒール、装身具は刑務所側が買い求め、ロングドレスは刑務所の役人の妻らから体に合う物を借り受けてきた。
 審査の結果、ミスにはフランコ・ダ・ロシャ刑務所代表のフェルナンダ・マリア・デ・ジェズスさん(二十四)が選出された。彼女は身長一・七〇メートル、体重五十四キロでムラタ美人の魅力で栄冠を手にした。犯罪歴は麻薬取り締り法違反で実刑四年のうち二年七ヵ月服役している。恋人が麻薬組織の一員でそのために麻薬に手を染めたとしているが、ミスに選ばれたことで、将来はモデルを目指して新しい人生に向かう力強く宣言した。実は彼女は予選二位で終わったが、一位となった受刑者が仮釈放で十二日に出所したため繰り上げられて、今回の決勝進出となり、幸運をつかんだもの。
 自由参加で国籍も問われないことから、ドイツ人の金髪女性(二十一)も決勝に進出、ミスの呼び声が高かったが惜しくも破れた、彼女は麻薬密売で逮捕されブラジルで服役している。それぞれの部門優勝者と三位までの入賞者は、化粧品一式や衛生用品のほか、二五〇レアル、一五〇レアル、一〇〇レアルの賞金が手渡された。賞金は出所時まで当局が預かる。
 イベントを主催した刑務所のフルカワ管理長官は、参加者が美意識を認識して社会復元に望みをつなげるよう、毎年の恒例行事としたいとの抱負を語った。イベントは企業やボランティアの寄付で全てを賄ったという。