11月24日(水)
【エスタード・デ・サンパウロ紙二十三日】二十一日に来伯したロシアのプーチン大統領はブラジリア市で二十二日、ルーラ大統領と会談した。ブラジル側は牛肉の輸出の全面解禁を期待したが、狂牛病の検査が終わるまで結論は先送りとなった。いっぽうでロシア側は戦闘機の売り込みを図ったが、ルーラ大統領は返答を避けた。結局、両国は人工衛星の製造と基地整備の提携で合意に達したにとどまり、技術や人的交流を推進する覚え書に調印した。プーチン大統領はこの後、公式訪問の次の目的地となっているリオ市の観光へと向かった。二十四日まで滞在の予定だが、スケジュールは公表されていない。
ブラジル側の最大の関心事だった牛肉の輸出全面解禁はお預けとなった。昼食を共にしたロドリゲス農相は、「まだ駄目だとさ」と失望の色を隠していない。今年のロシアへの輸出は十億二千四百万ドル(輸入は四億八千万ドル)で、主要輸出品は牛肉となっている。
しかしアマゾナス州で狂牛病が確認されたことで本年九月以来、同国への輸出は全面的禁止の措置が取られていた。ロシアの検査官が来伯して調査した結果、先週になってサンタ・カタリナ州の牛肉のみ輸出が解禁された。ブラジル側はプーチン大統領が訪伯し、手みやげ代りに全面解禁すると期待していた。ロシア側によると、リオ州と問題のアマゾナス州の検査が完了しておらず、その結果を待ちたいという。
同農相によると、ルーラ大統領は会談の途中でプーチン大統領を執務室に招き入れ、壁に掛かったブラジルの地図を指差し、ここがアマゾナス州で病気の発生した場所で、牛肉が輸出されるのは南部のこのあたりだと説明したが、プーチン大統領はうなずいただけだったという。しかし同農相は来週には全面解禁になるとの見方を強調した。
いっぽうでプーチン大統領はブラジル空軍が国際入札を計画している戦闘機の購入に関し、自国製スコイ機の売り込みを図ったが、ルーラ大統領は返答を避けた。結局、マラニョン州での人工衛星基地の再建と衛星の製造に関する提携で合意したのに加え、スポーツや教育面での技術や人的交流を推進することになった。さらに両国の企業に二重課税を禁止する協定の締結でも合意を得た。
さらにルーラ大統領はロシアのWTO(世界貿易機関)加盟への賛同を表明し、プーチン大統領はブラジルの国連安保理の常任理事国入りを後押しすることを約束した。その後プーチン大統領はサルネイ上院議長を表敬訪問し、「ラテンアメリカ最大の国のブラジルと友好関係を持続していく」との態度を表明した。