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日伯総合センター=背伸びしても威信を=国立民族学博物館・山田睦夫名誉教授

11月23日(火)

 日本学術振興会サンパウロ連絡研究員で、国立民族学博物館名誉教授の山田睦夫氏から「日伯総合センターに関して」の投書があった。ブラジルの都市や歴史事情に詳しい識者の意見として紹介する。
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 短期滞在者だが、都市や歴史を中心に三十年以上、ブラジルを研究しているものとして意見を申し上げたい。
 詳しい事情、経緯を承知していないが、まず、センターが日伯と名乗る以上、ブラジル社会への働きかけを重視すべきであると思う。日系諸団体の受け皿であれば、現在の文協ビルが最適であり、マイノリティとしての日系人を含むブラジル社会への働きかけということならば、階層差の激しいこの社会の中で自己主張するためには、背伸びをしても、パウリスタかジャルヂンに立地すべきでしょう。エブライカなどの他のエスニック団体の先例から学び、ぜひ再考していていただきたく思う。
 とんでもない不便な土地に大きなものを作るより、影響力が期待でき、威信のある場所に小さくとも、趣味の良いものを建て、国際交流基金、日本企業のショールームなどにも場所貸しをして、文化事業を共催したり、共生的効果を期待したらよいと思う。建物は必ずしも、日本的なものにこだわらず、よく見ると日本らしさが感じられる程度のものがよいだろう。
 ブラジリアの日本大使館の丹下氏による建物をみても、ジャポニカ的なものは、けち臭く見える。ブラジル社会への働きかけを前面に出してこそ、日本側の支援も期待できると思う。